文化と状況的学習―実践、言語、人工物へのアクセスのデザイン
上野 直樹 ソーヤー りえこ
凡人社
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おすすめ度の平均: 1.0

1 読み辛い

内容

前半は状況的学習論のまとめみたいなかたちになっています。状況的学習がどのような背景からはじまり、どこで、どんな人たちと発展させていったのかがよくわかります。後半は論文の紹介というかんじです。海外留学生が研究室の実践に参加する過程が描かれていたりします。

面白いポイント

僕は特に前半の理論編みたいな部分を面白く読みました。状況的学習というのはわかっているものの、なんかこういまいち整理がつかないんですよね。本の前半部分にマルクスや、フーコーから、レイブらとの関係が図になったものがあるのですけど、それはわかりやすかったかなと思います。

後半は事例になっているので具体的にどうなのよというのもわかります。その事例も、留学生が研究室の装置にアクセスできるかという視点から研究されていてテーマ的におもしろさがあります。

この本について語る

最近まじめに状況論系の本を読みはじめていろいろわかってきました。でも、まだいろいろわからないこともあるんだよなあ。

この本の中にも「教育」と「学習」の違いについて言及があります。「教育カリキュラム」と「学習カリキュラム」の違いともいえるかもしれません。

結局ぼくの中で大きな括りでわけると、両者は目的とする「問題」が異なるのかなという気がしてきました。「教育」=「良定義問題の解決を支援」、「学習」=「不良定義問題の解決を支援」という分け方ですね。

不良定義問題とは、要するに「問題がなにかすらわかっていない」状態です。そういう問題を解決するためには、従来の教授法を開発するというのではなく、違ったアプローチが必要になるよねというのがいまのところのひとつの見方なのかなと思います。

じゃあどうやって学習環境をデザインするのよ?というと、まだわかっていないことのほうが多いんじゃないですかね。そんなかんじです。