いまの時代に必要なものは「○○力だ!」という議論は色々見かけることがあると思います。ぼくは教育関連の研究をしていますので、こうした議論は多いに関連があります。なぜなら、教育としての「ゴール」として意識されるからです。そして、その「ゴール」を達成するために、どんな「教育方法」がもっとも有効なのかということを考えていくわけですね。
今回はその「ゴール」としていわれるもののなかから、大学教育に関連が深い「学士力」「社会人基礎力」、そして大学教育ではありませんが近年注目されている「21世紀型スキル」について簡単に紹介したいと思います。
【学士力とは?】
2008年に文部科学省の中央教育審議会が「学士課程教育の構築に向けて」において公表したものです。4つの分野にわかれ、全体で13の要素に分かれています。長くなるので基本的に以下は分野のみ書いていきます。
1.知識・理解
2.汎用的能力
3.態度・志向性
4.総合的な学習経験と創造的思考力
知識だけではなく、汎用的能力、態度・志向性、そして創造的思考能力などが求められているのがわかります。リーダーシップなども3の中に含まれています。
【社会人基礎力とは?】
2007年に経済産業省が『「社会人基礎力」育成のススメについて-社会人基礎力育成プログラムの普及をめざして』において公表したものです。3つの分野に分かれ、全体で12の要素に分かれています。
1.前に踏み出す力(アクション)
2.考え抜く力(シンキング)
3.チームで働く力(チームワーク)
社会人基礎力も学士力と共通するスキルが多いという印象があります。こちらは学士力に比べると、より具体的といえるかもしれません。分類などが妥当かどうかはさておき、わかりやすいという印象を受けるかもしれませんね。
【21世紀型スキルとは?】
「ATC21s」(The Assessment and Teaching of 21st-Century Skills)が提唱したスキルです。こちらは大学向けではありませんが、近年とても注目されています。内容は大きく4つの分野にわかれています。
1.思考の方法:創造性、批判的思考、問題解決、意志決定と学習
2.仕事の方法:コミュニケーションと協調
3.仕事の道具:情報通信技術(ICT)と情報リテラシー
4.市民生活:市民性、生活と職業、個人的および社会的責任
「学士力」「社会人基礎力」との共通点もけっこうありますね。ここにも創造性などが含まれています。
・まとめ
今回は特にそれぞれについて詳細に考察はせず、まずはこんなことが言われているよという紹介をしてみました。ざっと眺めてみてどう思いますか?
あえてむりやりこれらの力をいれこんだ人物を想像してみると、
「複雑化する社会のなかで、答えの決まっていない問題に、リーダーシップを発揮しながら、色々な人と協調したりICTを使いこなしながら、時に批判的思考を働かせ、いままでにない解決策を導き出し、そして行動する人」
が求められているのでしょうかね。なかなかハードル高いですね(笑)
こうやってまとめてみると、それぞれについてどのくらいの力があればいいのかとか、最低限つけたいミニマムの力はどこで、どこが理想なのかとか色々疑問も湧いてきますね。
これらをより具体的で現実的なゴールとしてどう落とし込むのかというのがひとつ問題といえるかもしれません。
もうひとつはどうやってその能力を身につけるのかですね。ざっとみたかんじで、それぞれの能力はつながっていますよね。「創造力だけつける」とか「チームワーク力だけつける」みたいなかんじではなく、ある方法をおこないながら、複数の力が関連付いて身についていくというイメージですよね。複合的にうまく身につけていけるような教育方法が求められているともいえるのではないでしょうか。
ということで今回はいろいろな能力・スキルについてまとめてみました。今回取り上げただけでも3つですが、リテラシーとかいれはじめるとかなり増えていきますね。また機会をみてまとめてみようと思います。
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