少し前のことになりますが、「越境学習」×「イノベーション」の第二回研究会を企画しました。
今回の研究会では「オープン・イノベーション論」と「社会関係資本(ソーシャル・キャピタル)論」に関する話題提供を、伊達洋駆さん(株式会社ビジネスリサーチラボ)、福澤光啓さん(成蹊大学経済学部)、糸久正人さん(東京大学)からしていただきました。
毎回この研究会は、私自身の学ぶ場としているため、オープン・イノベーションの世界でどんなことが言われているのかや、イノベーションに対して社会関係資本がどのように役立つのかがわかり、勉強になりました。
細かい感想については、実はすでにtogetterにまとめているのですが、あらためてここにも書いておこうと思います。ブログですし、私の個人的な感想なので正確性はやや欠けますが、参考になる文献を提示しておきますので、気になる方はお読み下さいませ。
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オープン・イノベーションの定義は色々ありますが、すごく簡単にいえば、社内の技術を使うだけではなく、社外の技術などとコラボレーションすることでイノベーションを起こそうとするものです。全てを自社で抱えるのではなく、内と外をうまく使い分けて価値を創造していくという方法といえると思います。
なぜ注目されているかといえば、時代的にそうせざるを得ないというのもあるのでしょう。オープン・イノベーションは自社で全てを実施するよりもスピーディーに対応できるというメリットがあります。
ただし、オープン・イノベーションを成功させるのは本当に難しいなと思いました。当たり前ですが、他社とコラボレーションすればうまくいくというものではありません。何を「内」でやり、何を「外」でやるべきなのかという切り分けが本当に大事になります。自社の強みはなんなのかということを結局問い直すことになるんですね。
オープン・イノベーションは、それをしようとすると、結果的に「自社の強みの棚卸し」することになり、それ自体はとてもよいことだと言われていました。このように考えると何か新しい創造するということは、自己(自社)を内省する必要があり、イノベーション論とキャリア論はけっこう接続があるように思いました。
このように「自社の強みを知る」ことが大事な一方で、もうひとつ大事なのが「価値創造」という視点です。オープン・イノベーションの成功例というのはいくつか報告されていますが、それらの事例に共通するひとつの特徴は、結局「価値創造の仕組み」を仕掛け手の企業がもっているんですね。
コンセプトと儲ける仕組みをしっかりもっていれば、こちらから協同する相手を探さなくても、向こうから一緒にやろうといってきてくれるわけです。その意味で、価値創造のメカニズムを持つということが、基本でありながらもやっぱり大事なんだろうなとあらためて思いました。
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オープン・イノベーションの話は、組織間の連携の話になってくるので、どうしても話のケタがとても大きく、「じゃあ個人はどうしたらいいんだろう」という気持ちにもなってきます。オープン・イノベーションなどと越境学習はどのように関係してくるんでしょうか。
私が思うに、社外の場(勉強会など)にでることが、ただちにオープン・イノベーションにつながるということはないのかなと思います。最近イノベーション論を少しずつ勉強していて思いますが、イノベーションが起こるためには、時間も資源もものすごくかかります。個人レベルでできることはどのくらいあるのかなと思う部分もあります。
しかし、こうした経験がオープン・イノベーションの萌芽になるということはあるだろうなと思いました。結局、組織間の連携をし、イノベーションが起こるためには、「他社の状況や自社の強みを知った上で」、「連携相手をうまく探し」、「連携相手と協同する仕組みを模索する」ということが必要になります。
これを行う方法はさまざまな方法があり、それぞれのメリットやデメリットがあるのですが、その一つの方法として越境学習が位置づく可能性を感じました。
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ということで感想をざっと書いてみました。
「越境学習」×「イノベーション論」の研究会は、毎回経営学を研究している方をゲストとしてお呼びして行っているのですが、私自身にとっても分野を越境する機会になり、非常に勉強になるとともに、「どこに接続点を見いだせるのか」を即興で考えるため、なかなか頭を使う場でもあります。
「研究分野ではこういうことがわかっています」ということをお伝えする場にすることはなかなか難しいのですが、研究者や実務家など、さまざまな視点を持ち寄ることで、新たな視点が生み出せればと考えています。
今回話題提供してくださった伊達洋駆さん(株式会社ビジネスリサーチラボ)、福澤光啓さん(成蹊大学経済学部)、糸久正人さん、参加して下ったみなさま、本当にありがとうございました。
この研究会はまた第三回も実施する予定ですので、気になる方はぜひご参加下さい。また応募はこちらのサイトで告知いたします。
■参考図書
一橋ビジネスレビューがちょうど「オープン・イノベーション」の特集でした。こちらはとてもわかりやすく、大事なポイントがまとまっていると思います。
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最近シェスブロウさんの新刊もでましたよね。
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このブログのもとにした自分のツイートのまとめはこちらです。
第二回 「越境学習」×「イノベーション論」の研究会に関する連続ツイート
http://togetter.com/li/402779
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