金井 壽宏先生の「人勢塾」を読みました!
「人勢塾」は「ポジティブ心理学を組織に応用するための研究会」とのことです。
この本は、その研究会のレクチャーを再録し、加筆したものです。
ポジティブ心理学という言葉になじみがなくても、以下のキーワードにぐっとくる方にはおすすめできる本かなと思います。
「ストレングスファインダー」や「フロー」、「学習性無気力」、「マズロー」 etc…
僕自身「ポジティブ心理学」については学びたいと思いつつも、どうも手が出せていなかったのですが、この本はすごく読みやすく、ポジティブ心理学について理解するためにとてもとっつきやすい本なのかなと思いました。
目次を見れば分かる通り、取り扱う内容は幅広いです。
毎回ゲストを呼び、ゲストの人とともにトピックについて考えていきます。
序章 人勢塾への道–ポジティブ心理学を組織・人事に実践的に応用するために
第1章 ポジティブ心理学
第2章 「感謝」が社内を変えていく
第3章 「強み」を生かした組織づくり
第4章 「フロー経験」を知る
第5章 ピーク経験と自己実現
第6章 HRから組織を変える
第7章 逆境を乗り越える力
第8章 その後の人勢塾
巻末付録 「人勢塾」事前シラバス抜粋
個人的にこの本を読んで面白いと思ったポイントは、「ポジティブ心理学」の中心人物であるセリグマンさんが、元々は悲観主義や無力感の研究をしていたという点でした。
実は、楽観主義や幸せをテーマとするポジティブ心理学の中心的な創始者マーティン・セリグマンは、もともとは悲観主義や無力感、抑鬱の研究者として名高い人であった。
ちょっとびっくりしますよね。元々セリグマンさんは「学習性無力感(learned helplessness)」といった話を研究していました。どういう話かは本書に簡潔にまとまっているので引用します。(太字や下線は舘野が追加)
簡単にいうと、イヌをどうやっても逃れることができないような状況に置き、電気ショックを与える。そうやって、イヌに「動き回っても絶対に逃げられない」という経験をさせます。その後、この経験をしたイヌたちを、今度は、特定の行動をすれば電気ショックから逃げられるという状況に置いてやります。すると、約30%は逃げることを学習しますが、残りの70%は、まったく逃げることがありません。逃げれば痛みに遭わないことがわかっていても、逃げずに痛みに耐えて、おとなしくショックを受け続けるような状態になってしまう。つまり、何をしても無駄だと「絶望」学習してしまうわけです。
こんな研究をしていたセリグマンさんがなぜポジティブ心理学をはじめたのか?その1つの理由としては、「絶望」を学習することができるならば、「楽観」(自分は無力じゃない!)も学習することができるんじゃないかと思ったそうなんですね。そこで、「学習性楽観(learned optimism)」という話がでてきます。
楽観主義とは、学習された無力感という悲観主義と逆に、もしうまくいかなくても、「今だけ」「これをやっているときのみ」「他のみんなも」うまくいっていないと因果帰属させるような説明スタイルをとる人の特徴としてとらえられる。
こうした発想をもとに、実際にこうした考え方を学ぶためのプログラムなども実施しているそうです。面白いですよね。詳しくは本書をご参照下さい。
この本が入門書としていいと思うのは、とっつきやすいだけではなく、話の中でさまざまな本が紹介されている点です。
もっと詳しく知りたい場合になにを読めばいいのかがわかりやすいです。その意味でも手元にあると重宝しそうです。
人のポジティブな側面に注目したい!
と思っている方は、このへんのことを勉強してみるとさらに面白いことができるかもしれないなと思いました。おすすめです。
▼参考図書
・ポジティブ心理学をさらに詳しく知りたい方へ。
・ストレングスファインダーをまだやっていない方はこちらをぜひ!自分の5つの強みがわかります!
・フロー理論について知りたいかたはこちら。本書にもちょっとでてきます。
▼参考情報
NAKAHARA-LAB.NET 「人勢塾:ポジティブ心理学が人と組織を鍛える」を読んだ!
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/post_1674.html
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