今週末は、今年非常勤をしていた立教大の授業に関する合宿に参加していました!この合宿のポイントは「SA(Student Assistant)の引き継ぎ」です。
「SA(Student Assistant)」は大学によって多少違いがあると思うのですが、すごく簡単にいえば「先生と一緒に授業をおこなう学生」のことを指します。
大学では最近、グループワークなど学生が能動的に学習を進める授業が増えてきており、こうした授業をする上でSAは非常に重要な役割を担います。大学によってSAの役割はさまざまだと思うのですが、立教大経営学部の場合には、プリントを配ったりするだけではなく、学生の学びを支えるファシリテーターとして大事な役割を担っています。
今回の合宿では「SA経験のある学生」が「SA未経験の学生」に「SAのノウハウ」を引き継ぐことが目的でした。今回のブログではその合宿の内容を少し共有したいと思います。
■経験を語り合うプチワークショップ
今回の合宿ではぼくは「SA経験者と未経験者が情報共有をする」プチワークショップをやりました。その場でやることになったのでややあせりましたが(笑)、即興で頭をフル回転させて活動を考えてみました。
今回はワールドカフェのエッセンスを取り入れた活動をやってみました。(参考リンク:ワールドカフェとは http://www.humanvalue.co.jp/service/wcafe/)
ざっと活動を書くと、まず約30名の参加者を5グループに分けて、経験者と未経験者が入るようにします。経験者が語り、未経験者が質問するというところまではオーソドックスにやるのですが、そのときに「他の人にも共有したい大事なポイント」は書記にメモしてもらいます。
その後に、経験者はグループに残り、未経験者が隣のグループに移動してもらいます。そこでお互いのグループの議論を説明し直し、さらに議論を深めるというやり方をやってみました。(最後に、全体の共有、教員からのコメントなどもいれて、約1時間15分くらいです)
■SA(Student Assistant)に求められていることとは?
今回のワークショップの中で出てきた議論はとても面白く「SA(Student Assistant)に求められていることはなにか」について理解が深まりそうだと思いました。簡単にポイントをまとめてみようと思います。
・自分なりに「SAとはどのような存在か(役割か)?」について理解を深めること
まずどの班でもでていたのが、「SAとはどのような存在か?」についての議論でした。学生と距離が近づきすぎて単純にお友達になってしまうわけでもなく、距離を置きすぎて先生のようにふるまってしまうわけでもなく、一番良い関係をどのようにつくるべきかについての議論が盛り上がってきました。
このように、よいSAになるためには「よいSAとは何か」という自分なりの仮説をつくり、それを再構築していくことがポイントになるのだろうなと思いました。リーダーシップ仮説と共通するかもしれません。
・SAとはどのような存在かについて周りに示していく
もうひとつ上記のポイントに関連して面白かったのは、自分なりの「SAのあり方」を自分が理解するだけではなく、周りにしっかり示していくということが重要ということでした。つまり、「SAは何をして、何をしないのか」ということを、しっかり学生に伝えるということですね。
例えば、あるSAさんは、授業の最初にしっかりと自分の役割を提示する(みんなの前で話す)というやり方をしていました。必ず言う必要はないかもしれませんが、「何をして何をしないのか」、「どのような存在・役割なのか」ということ自分で理解した上で、行動や態度で見せていくことが重要なポイントになるのかなと思いました。
・授業の「内容に関する知識」をつけること
これは教員からのコメントででてきたポイントですが、授業の内容に関する知識の準備もしておこうということでした。もちろん、内容知の部分については教員がメインで担当するわけですが、質問に答えたり、いま議論がうまくいっているのか等をモニターすることを考えると、ある程度の内容的知識が必要になります。
「どのように支援するか」という方法的な知識と同様に、「何を」という内容的な知識もまた等しく重要ということですよね。「教えるために内容についても学び直す」というのはよいサイクルではないかと思いました。
・その他
その他にも「しっかり準備に時間をかける」「当たり前のことを当たり前にできるようにする」「受講生のことを考えながらも、長期的に自分の成長につながることを意識する」などといった意見がでていました。
■まとめ
さて今回は議論の中からSAに求められることについて書いてみました。もちろん今回出てきた視点は、これだけやればよいというものではなく、「こういう視点が大事かも」というあくまで仮説です。
ただ、議論を見ていると引き継がれることは「SAとして具体的にやるべきこと(手順)」だけではなく、「SAはどのような存在なのか」というある意味でいえば「信念レベル」の共有も非常に大事になるのだろうなと思いました。また、当たり前ですが、「方法論」だけでなく、「内容知」についてもポイントになるのかなと思いました。
最初にも書きましたが、大学教育でグループワークやプロジェクト学習などを取り入れ、その効果を十分に発揮するために、SAがかなりキーになってきます。
そのように考えると、教員は「自分の授業を開発して、自分がよい授業をする」ということももちろん大事なのですが、SAをうまく巻き込んだりしながら、チームとしてよい授業をつくりあげるという視点も非常に重要になってきているのではないかと感じました。
SA制度を取り入れて実践されているところも増えてきていると思いますので、色々と情報交換する機会があるといいなと思ったりします。なにかこんな工夫をしているということがあればぜひ教えて下さいませ!
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ちなみに、色々まじめに書いてみましたが、合宿なので学習セッション以外にもたくさん学生や、先生たちと話す機会があり、単純にとても楽しい二日間でした。印象深い思い出がたくさんあり、思い出すと顔がニヤリとしてしまいます(笑)「楽しい」ということは時々軽視されることもあると思うのですが(「楽しいだけじゃ意味がない」とか)、それでもまずは「楽しい」ということはとても重要なことだと思いました。
幹事のみなさん、参加された学生・教員のみなさま、本当にお疲れ様でした!
■関連する本
・立教大学経営学部の取り組みについてはこちらの本に詳細が書かれています
ナカニシヤ出版
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・ワールドカフェのやり方についてはこのへんがよいのではないでしょうか
日本経済新聞出版社
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ヒューマンバリュー
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・学びと楽しさについてこちらの本が参考になるかもしれません。ぼくもコラムを数ページ書いています。
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