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さて、さきほど東大で開かれた「大学生研究フォーラム2013」に参加してきました。フォーラムに参加した感想を速報版というかんじで、終了直後にブログとして公開したいと思います!

主に参加中に自分がツイートしていた内容に補足するようなかたちで更新したいと思います。

■大学生研究フォーラムとは?

フォーラム自体の説明は以下になります。

2008年の第1回開催から数えて6回目を迎える「大学生研究フォーラム2013」。

初めての首都圏開催となる今回は、グローバル化が進み、政治・経済・生活が大きく変化していく中での企業の進化に注目。今、企業がどのような変貌を遂げつつあるのか、その変化に大学や大学生はどう対応すべきなのか、そのために必要な学びとは何かについて考えていきます。

【公益財団法人 電通育英会設立50周年事業】 東京大学/京都大学/電通育英会共催

主催の電通育英会様とは、現在東京大学の中原研究室が、大学と社会をつなぐトランジション調査をしており、私もそのプロジェクトで関わっています。いままさに分析、執筆中ですので、成果発表を楽しみにしていただければと思います。

それでは各先生のお話を聞いていて個人的にポイントだと思った点を書いておこうと思います。

■安西祐一郎先生のお話のポイント

「教育が日本をひらくグローバル世紀への提言」というお題で発表されました。面白いと思ったポイントは以下です。



豊かな学びをするためには、学習リソースが必要なのですが、それらは全て主体的な態度を前提にしているわけなのですよね。ではその主体性、もっと具体的にいえば「学びたい」という気持ちをいかに支援できるのかということを思いました。安西先生のお話は午後の溝上先生のご発表とも関連が深いと思いました。

■溝上慎一先生のお話のポイント

溝上先生のご発表で面白いと思ったのは以下のポイントです。



これはいま溝上先生と一緒に共同研究をしている内容とも関連する話になります。

安西先生のお話とも関連しますが、どれだけ豊かな環境を作ったとしても、主体的に学んだり、関係性を作ったり、将来についての見通しを持ったりしていなければ、結局は効果を持たないという話でした。たしかにというかんじですね。

しかし、その3つをだれがどのように育てるのかはまた問題ですよね。本田由紀先生も以下のようにつぶやいておりました。



ここはなかなか難しいですね。もう少し議論していくポイントなのかなと思いました。

■佐藤博樹先生のお話のポイント

佐藤先生のお話で面白かったのは以下のポイントです。



佐藤先生のご発表では、「インターンシップ」をテーマに、企業にとっても、学生にとっても意味のあるインターンシップの形はなにかということについてお話されました。

インターンシップは、通常どうしても「大学は企業の迷惑にならない人を出す」(つまり、優秀な人)ということになりがちで、そうすると、結局インターンシップが必要な人がインターンシップにいけないという状態になってしまうわけですね。

しかし、インターンシップを、企業の受入担当者の「育成の場」と捉えると、その構造を乗り越えられるのではないかというお話しでした。

受入担当者にとって、学生に対して「教えること」を重要なラーニングの機会と捉えれば、学生は「教える必要のない優秀な人」だけを送り込む必要はなくなり、必要な人がインターンシップを受けることができ、企業にとっても学習機会になってよいという循環が生まれるのではないかというお話でした。データを交えながらお話しされていて、とても面白かったです。

■文部科学省松尾泰樹さんのお話のポイント

松尾さんは大学生の留学について、データをもとにお話されました。



安西先生のご発表のときにもでてきたデータなのですが、たしかに全体的に留学の数は減っているそうなのですが、国別にみるとアメリカにいく人がものすごく減っていることが要因のようです。

しかし、アジアやヨーロッパにいく人だけみると以前より増えているそうなんですよね。なので、必ずしも全てが「内向き」とはいえない状況にあるというのが印象的でした。

■ぐるなびの田中潤さんのお話のポイント

ここからは企業の方からのプレゼンです。田中さんのプレゼンのスタートは以下の発言からでした。非常に印象的です。



大学と社会のギャップがあるなかで、採用担当者がどのように採用をするのかというお話でした。

田中さんのお話が面白かったのは「採用をこうすべきだ!」という総論ではなく、具体的に採用担当者の方がひとつずつ工夫して実践をおこなっていくことを重視されていた点でした。ぐるなびの採用セミナーの実践もとても面白かったです。

■日産の奈良崎さんのお話のポイント

日産の奈良崎さんのお話は、日産のグローバル人事マネジメントについてのお話しでした。


いま現在社内がどのようになっているかについてお話いただいたのですが、けっこう衝撃を受けました。「これからグローバル化時代が到来するよ!」っていうよりも、ある意味当たり前のように「もうすぐそこにある」ということを実感する内容でした。なかなかこうした実態についてお話を聞く機会がないので、とても貴重だなと思いました。

■総括パネルディスカッションの内容について

パネルディスカッションは、吉見俊哉先生、平田純一先生、笹倉和幸先生、大塚雄作先生のメンバーで行われました。個人的には吉見先生の以下のお話が印象に残りました。

吉見先生のお話を聞いて、あらためて今回のフォーラムで共通する「主体性」と「多様性」について理解が深まりました。

■全体の感想

ということで、ざっと全体の感想を書きました。ぼく個人の見解で書いておりますので、うまくプレゼンテーターの方々の意図を伝えられているかわからないのですが、その部分は差し引きつつ見ていただければと思います。

今回のフォーラムの感想としては、通常なかなか議論がかみ合わなくなりがちな「主体性」「多様性」「グローバル」「採用」などというキーワードを、うまくそれぞれの立場の方が「経験」「データ」「理論」などを使ってお話しされていたように思いました。議論が宙に浮くかんじがせずに、今後一つずつ進んでいきそうな期待を感じました。

主催のみなさま、先生方、プレゼンテーターのみなさま本当にお疲れ様でした!

■参考リンク

大学生研究フォーラム2013
http://www.dentsu-ikueikai.or.jp/forum/2013.html

舘野のツイッターアカウントはこちらです。よろしければフォローしてくださいませ。
https://twitter.com/tatthiy

■追記(2013/8/18)

中原先生と溝上先生が当日のスライドを公開してくださっていたので、リンクを追記いたしました。

大学生研究フォーラム2013、盛会にて無事終了しました!(心より感謝です) :中原のパワーポイント資料公開
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/08/2013_3.html

溝上慎一先生のスライド(pdfになります)
http://smizok.net/%E6%BA%9D%E4%B8%8AClosing%EF%BC%88%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E7%94%9F%E7%A0%94%E7%A9%B6%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%A02013%EF%BC%89v4%200817-2013.pdf