研究やレポートのテーマを考えるときのポイントは「問いを小さく絞ること」です。「えっ、こんなに小さくていいの?」というくらいに絞ることでようやくほどよい大きさの問いに仕上がってきます。
「問いを絞ること」が大事なのは、絞らないと「論証」するのが難しいからです。研究には「問い」「答え(主張)」「論証」が必要だと思うのですが、「答え」と「論証」をだすためにも、「ほどよい大きさの問い」を見つけることが大事になってきます。
と、ここまでのことは以前もブログに書いていたのですが、最近この説明だけでは誤解も生むかなと思ってきました。問いは「大きい」か「小さいか」という二者択一の問題と考えるものではないのかなと。
「論証できるように問いを絞ること」と同時に、その問いが「世の中における問題といかに接続するかという大きな問い」と接続して論じることが重要ですよね。
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これは卒論・修論・博論においても同じことがいえると思います。投稿論文として書く場合にはコンパクトにまとめることが重要かもしれませんが、修論や博論ではもっと大きな文脈の中に位置づけて研究を語ることが大切になってきます。
ひとつのひとつの研究は小さいかもしれませんが、それが世の中のどんな文脈に位置づいているのか、自分の研究があることで世界はどのように変わるのかという、一見すると「大きな問い」と、しっかり「接続して述べること」が大事になるでしょう。なので、テーマを決めたり、書くときに「問いを小さく」ということを言うのですが、それは「大きな問い」を捨てるという意味ではないと思います。
結果的にどちらの問いも重要で、「小さい問い」と「大きな問い」と「その接続」という3つの要素をしっかり押さえて書くことが重要なのかなとあらためて思いました。
卒論や修論を書いている人にとっては、これは1章や2章をどう書くかということと密接に関連してくることなのかなと思います。3章や4章で自分がやったことが、大きな文脈においてどのような位置づけになるのか、そして、5章や6章において、結果としてどんな示唆があったのかを語ることは、その研究をよりよいものにするために重要です。
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こうして考えてみると、よい研究者は、このあたりの「問いの大きさのコントロール」と「その接続」が非常に上手なのかなと思います。大きな世界観を持ちつつ、実証できるかたちで問いをつくり、そこを接続して書くというのはいうのは簡単ですが非常に難しいことだなと思います。自分自身もしっかりこういうポイントを押さえて、研究を進めていきたいです。
ということで、今回は「小さな問い」を「大きな問い」と接続して書くこと・語ることについて書いてみました。
これまで書いた「書くこと」「研究すること」に関連する記事はこちらにまとまっていますのでよろしければご覧下さい。
文章の読み方・書き方・考え方・発表の仕方まとめ
https://www.tate-lab.net/mt/report-writing.html
今日の記事はこないだ中原先生が書いていた記事とも関連が深いですね。
博士論文とは「構造を書くこと」である!? NAKAHARA-LAB.NET
http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/11/post_1907.html
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