今日は大学の歴史シリーズ第四弾です。これまで
・12世紀の大学のはじまり
・中世の教育スタイルとしての「スコラ学」
・近代における「大学の危機」
という3つについて書いてきました。
今回は前回書いた大学の危機に対する「大学改革」について書いていきたいと思います。今回の参考文献も「大学の歴史」です。今回は他の文献も少し参考にしています。
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近代における「大学の危機」のポイントをざっくり復習すると「大学が時代遅れの教育をしている」「知的生産の場は大学の外になっていた」「大学の学位の持つ価値が下がっていた」という点が挙げられます。こうした点を踏まえてどのような改革を行ったのでしょうか。
改革の方法は国によって異なります。色々な国の流れがありますが、今回はその中でも特徴がある、「ドイツ型」と「アメリカ型」の2つについて説明したいと思います。
1.ドイツ型の改革(17,18世紀)
ドイツ型の改革は色々あるのですがひとつのポイントは「スコラ学的な方法」にかわって「ゼミナール」が導入されたことといえるでしょう。スコラ学的な方法とは、講義と討論を中心にしたスタイルですね。こうしたスタイルに代わり、ゼミナールや実験室を取り入れることで「教授と学生がともに研究に取り組む」仕組みを導入したのです。ここでは詳しく説明しませんが、「フンボルト理念」といった考え方が生まれたのもこの時期になります。
2.アメリカ型の改革(19世紀)
アメリカ型の特徴も色々ありますが、ポイントになるのは「実用主義」の立場から、ヨーロッパでは大学で扱われていない分野も積極的に取り入れたという点があります。また、学生が学科ごとのカリキュラムに対して、自由に講義を選択できる仕組みが導入されたのも特徴的でした。さらに、大学院を設置し、教授が研究に従事できるような配慮を行いました。
この時代にアメリカの大学が世界の中でも成長していったことの背景には、政府や事業に成功したお金持ちによる支援、さらには卒業生からの寄付などが盛んで、私立大学が多く設置されたり、キャンパスや施設などのリソースが恵まれていたという点もあるようです。
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いかがでしょうか。改革のやり方は一つではなく、それぞれの国の事情によって、色々な方法があるのが面白いですね。
共通しているポイントとしては、教授と学生がともに研究に従事できる環境を整えたということでしょうか。ちょっと手元に文献がないのであいまいなのですが、たしか、背景には「大学が新しいことを教えるのであれば、講義スタイルで一方的に教えるのではなく、共につくり、学ぶというスタイルを行うべきだ」という発想があります。
また、近代では「扱っている内容が古い」という話がありましたが、アメリカでは特に、これまでの発想にとらわれることなく、新たな分野を積極的に取り入れたという点が特徴かと思います。
一連の大学の変化の流れをみていくと、「大学とはいかなる場所か」という価値観は、常に確固たるものだったのではないというのも面白いですよね。国や企業との距離感、教育と研究のバランス、教授と学生の関係、時代の景気のよしあし、地域における歴史的背景、などに左右されながら、大学の役割は少しずつ変化しているように思います。
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こうした歴史から現代について考えてみると何をするべきなのでしょうか?
日本の大学はユニバーサル化(大学進学率が50%を超えている)の時代を迎えていますし、景気の状況もけしてものすごくよいというわけではないでしょう。どちらかといえば研究よりも教育の方が比重が大きい時代ともいえるのではないでしょうか。いまの日本において、知的生産の拠点ははたしてどこが担っていて、今後どうなるのでしょうか。こうした問いが色々思い浮かんできます。
もちろん、これは「大学だけ」の問題ではないでしょう。イノベーションの領域においても、「オープン・イノベーション」ということが言われているように、知的生産において、ひとつの組織が全てを担うということはあまり現実的ではないといえます。基本的には「連携」というかたちをとることが多いでしょう。だからこそ「産学連携」ということが言われるというのもあるでしょう。
ただ、大学の歴史をみてみると、国や産業界との距離感の取り方も、時代によって異なり、そのメリット・デメリットがあるように思います。このあたりについても、歴史から教訓を学び、いまの時代にフィットした改革案というのを考えていきたいところですよね。
ということで、今日は「近代における大学改革」について少しだけ書きました。ブログ記事のため、内容の正確性に欠ける部分もあるかと思いますがそのあたりはご了承くださいませ。もっと知りたい!という方は以下に参考文献を示しますので、そちらをご覧下さいませ。
大学の歴史シリーズは今後も続くかもしれません(笑)
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