先日、東京国立近代美術館の「建築はどこにあるの?7つのインスタレーション」展に行ってきました!
http://10plus1.jp/monthly/2010/06/issue1.php
この内容はとても面白かったのですが、今回はあえて、内容以外の話を。
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じゃあ何を書くのか?というと、「美術館鑑賞の楽しみ方」についてなんですね。
僕は正直美術館鑑賞っていうのは人生のうちでも5回未満くらいしか行ったことがないと思います。そのくらいど素人なので、楽しみ方がよくわからないんですよね。
で、今回は僕の同期であり、美術館鑑賞が趣味なだけではなく調査とかもしている平野智紀くんと一緒に美術館にいったんで、「どうやって美術館鑑賞を楽しんでいるのか?」について、いちいち鑑賞中に質問しながら鑑賞してみました。
この経験を通して、僕は今度美術館にいくときには以下の5つのポイントに注意してみようかなと思いました。それは以下の5つになります!
1.全体のストーリーを見ようとしてみる
2.一度最後まで見たら戻ってみる
3.疲れたら途中で休んでみる
4.家に帰ったらもう一度展示を振り返ってみる(Webとかを見てみる)
5.テーマを持って見てみる
これを意識してみると、いつもと違った楽しみ方ができるかも!?
それぞれ簡単に以下で説明していきましょう!
※但し書き
以下、
・平野くん=エキスパート(熟達者)
・舘野=ノービス(初心者)
として書いていきます!
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1.全体のストーリーを見ようとしてみる
最初に面白いなと思ったのは、エキスパートは企画展を「ストーリー」として楽しもうとしているという点なんですよね。
具体的には、「全体のテーマがなにか」そして、「一番最初にこの展示が置いてあるということの意味はなにか?」みたいなことを楽しんでいるということなのです。
これには個人的にびっくりしたんですが、エキスパート平野くんには「えっ?じゃあどうやってみてるの?」と逆に質問されてしまいました。
ノービス舘野的には、企画展にいっても正直ストーリーなんて意識していません(笑)なんとなくぼーっと見て、「あっ、これ見たことあるやつだ。本物はすげーなー」的な感想を述べるのみです!
これは1つポイントになりそうだなと思いました。
エキスパート → 全体のストーリーを頭に描きながら、展示を見る
ノービス → 有名な1つの絵を見るだけで、全体のストーリーはあんまり意識しない
2.一度最後まで見たら戻ってみる
2つ目のポイントは、エキスパートは展示の最後までいったら、今度は戻りだすんですよね!これも僕としてはびっくり!ゴールまできたらそのまま出るだけじゃないの?ってなかんじでした。
エキスパート平野くんいわく、戻る目的は「印象深かった作品をもう一度見る」ということのようですが、それを通じて、もう一度ストーリーを確認したり、一度見たあとだからこそ、最初の展示をみたときのイメージがかわるのだということがとても面白かったです。たしかに、二回目にみると、印象が違う作品があってびっくりでした!
エキスパート → 最後まで行って、また戻る
ノービス → 終わったらそのまま外にでて、おみやげ屋に立ち寄る
3.疲れたら途中で休んでみる
3つ目のポイントは、エキスパートは途中で休憩をいれたりしてちゃんと休むということです。平野くんに「博物館疲労」という言葉があると聞いてびっくりしました!
これについては研究者の奥本素子さんのblogに詳しくは説明されていました!
博物館疲労ーMuseumFatigueー
http://museology.blog92.fc2.com/blog-entry-109.html
当たり前ですが博物館でも美術館でも、見てまわると疲れますよね。だから、ちゃんと休みながら見るっていうのもエキスパートのふるまいなのかなと思いました。休むことで、また頭をリフレッシュして鑑賞を楽しむことができます。
ノービス舘野的には、最初の方だけやけにじっくりみて、後半は疲れてへろへろでさーっと歩いていってしまうなんてこともあるんですが、まさにそれのことなのかもしれません。
エキスパート → 疲れたら休んで、また鑑賞する
ノービス → 最初の方にやたらじっくり見て、後半疲れて何も頭に残らない
4.家に帰ったらもう一度展示を振り返ってみる(Webとかを見てみる)
4つ目のポイントは、Webの情報の使い方です。エキスパートはちゃんと一応事前にWebで内容をチェックしてくるのだそうです。そして、帰ったらまたWebを見てみるとかをやるそうです。どちらかというと、「予習は軽めに、復習はじっくりと」というかんじらしいです。
たしかに今回の企画展でも、その準備のプロセスが詳しくWebに載ってあり、これは展示を見たあとにみるとかなり面白いよなと思います。
http://www.momat.go.jp/Honkan/where_is_architecture/work_in_progress/#
ノービス的には、Webの情報は「テーマ確認」と「美術館の場所のチェック」くらいにとどまってしまいます。このへんは見習いたいと思いました。
エキスパート → Webの情報で予習・復習(「予習は軽めに、復習はじっくりと」)
ノービス → Webの情報は、美術館へのアクセス方法をチェックくらい(「何駅で降りるのかな」的なかんじw)
5.テーマを持って見てみる
5つ目は、いつもやっているわけではないそうなのですが、テーマを持ってみるということをするらしいです。具体的にいうと、「展示を見ているときに、「黒」の部分に注目してみる」とか、「丸い形を探してみる」みたいなかんじで、なにか簡
単な「視点」を持って鑑賞する楽しみ方があるそうなのです。
これも面白いなと思いました。たしかに何らかの視点をもって鑑賞を見ると、よりよく楽しめるよなと思います。
エキスパート → 視点をもってみるときもある
ノービス → 漫然とみてしまう
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いかがでしょうか?
まあ「美術館の楽しみ方」っていうのは「正解があるもの」ではないと思うので、いろいろな楽しみ方があるのだと思います。自由に見られるというのが、また醍醐味ですからね。
ただ、今回は「美術館鑑賞が好きな人はどうやってみているのだろう」というのが気になったので、いろいろ聞いてみて、それをまとめてみました!
もちろん、美術館鑑賞が好きな人にもいろいろなタイプがいるだろうし、毎回これを全部やっているわけでもないと思うんですが、僕にとっては非常に興味深く、「あとで真似してみよう!」と思えることがたくさんありました。
もしこのblogを読んで、「私はこういうこと心がけているよ!」なんてことがあったら教えてもらえるとうれしいです!
次に美術館にいくときには、このいくつかを試してみようと思います!また行ったら報告のblogを書こうと思います。
僕のめんどうな質問に付き合ってくれた平野さんに感謝します。お礼に平野くんが書いた報告書をここに紹介しておきます。
2009年度鑑賞者研究プロジェクト報告書寄稿レポート「みることによる学び 視聴覚教育理論と批判的メディアリテラシーの視点から」
http://www.acop.jp/archives/2010/05/2009-2.html
▼関連する書籍
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コロコロ
はじめまして
とても興味深く拝見させていただきました。
ちょうどモネを見はじめて約10年になり、自分が美術館で作品を
どのように見てきたのかを振り返っていたところなので、
これまでの自分の作品の見方に重ねていました。
1の全体のストーリーを見るということに気づかされたきっかけが
8年前の美術展でした。
http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/135466/
全体のストーリーを見ることに、さらに付け加えるとしたら、
自分だったらどう構成するか・・・・・という目で見る
というのも面白いと思います。
2 もう一度見るだけでなく、見るポイントを変えて何度も見てみる
http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/134278/
↑ ここでは、13mの巻物だったので、注目する視点を変えて
4往復しました。
5 テーマを持ってみる
先日、東京都博物館にきたモネは2度見ました。
2度目には、明確なテーマと課題を持って見に行きました。
http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/135060/
すると、光のあて方に方向性があり、会場で顰蹙をかっていた
並べ方にも主催者の意図があることが見えてきました。
→http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/135067/
それがわかったことで、これから行われる巡回展のモネ。
他の美術館では、どのようなライティングがされ、
どのようなブース割で配置され展示されるのか。
なんてことが知りたくなり、同じ作品ですが、
別の会場で見てみたい・・・という気になりました。
4 もう一度、振り返る
ここが一番のポイントのような気がします。
同じをものを見て他の人はどう感じたのか・・・・
それらを見ながら、人が考えないような解釈をしてみよう。
人が気づかないところに着目してみようと考えるようになります。
たとえば、風神雷神の乳首は一つしかないとか(笑)
http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/134055/
横から見ると違って見えるとか・・・ 左右でも違うとか
http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/135187/
そしてwebを見る範囲も広がり、美術関係の評論家、教授など
専門家の書かれた文章も、次第に読めるように
なっていることに気づきました。
そこで、専門家の意見に対しても、本当なの?
という目で見ていくという見方を最近するようになりました。
そして、友人と語る。
美術大の学長が言ってることだって、違うわよね・・・・
なんて言いながら(笑)
先行研究を読むときの3つのポイントの中に、
先行研究を「批判すること」 とありました。
専門家の書かれた文章を鵜呑みにせず、
自分自身の考えを持つようにしてみるというのも、
面白いと思います。
また、先行研究を理解するところに掲げられたことは、
そのまま、美術展を理解することに共通することだと思いました。
・どんな問題を扱い
・どんな方法でアプローチしたのか
・そして、どんな結果がでたのか
・その意味・インパクトとは何か?
この視点で、美術展を見ていくといいと、ヒントを
いただきました。
2度目のモネ展での課題は、
モネは、白内障を患ったモネは、見たままの映像を
そのまま描いていたのか?
という疑問に対して私なりの答えを出すでした。
http://tabelog.com/rvwr/000183099/diarydtl/135403/
自分なりの課題や興味が持てると、美術鑑賞は、
とても楽しくなり深まるのをちょうど感じていたところでした。
平野さんのレポートもこれから拝見させていただきます。
コロコロ
美術鑑賞が好きな人はどうやって美術館を見ているか・・・
先日、山種美術館で、ブロガー内覧会がありました。
→https://www.facebook.com/happy.jakuchu.2016/
そこに作品の照明を担当された方いらしていて、
次のようにポイントを絞って4回、回るとおっしゃっていました。
1回目・・・・絵だけを見る
2回目・・・・照明を見る
3回目・・・・解説を見る
4回目・・・・ブース割を見る
こちらの方なのですが、
http://www.suntory.co.jp/sma/jp/merumagakaiin/vol47/professionals01.html
、
技術者が、より作品に近づき、学芸員とのパイプ役を果たす、
さらには、学芸員側になってお仕事されていらっしゃるのが、
面白いと思いました。
地域と医療を考える上で、「役割の再構築」ということを、
書かれていましたが、まさに、設計者という役割を
再構築された実践者だな・・・と思いました。