以前、このblogで、中原研究室のゼミで使っているコメントシートや、その仕組みについて紹介しました!具体的には以下の2つの記事ですね。

ゼミで使用している「プロセス重視のコメントシート」を公開しました!
https://www.tate-lab.net/mt/2009/12/post-153.html

今年ゼミに導入した「研究室メンバーの内省を促す」3つの仕組み
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/post-177.html

実は先日、ある大学の先生から「このコメントシートを実際に大学の授業で使ってみたよ!」という連絡をいただきました!これはなんともうれしいことです!公開してよかった(笑)

その方は今年はじめて大学の演習科目を担当することになったそうなのですが、そのときにこのコメントシートを使ってくださったそうです。(実際にはそのまま使うというよりは、項目をその授業に少し改変して使ってくださったそうです)

使っていただいた授業は、大学1年生向けの授業と、大学2年生向けの授業の2つでした。

私としては「授業で使ったよ!」という報告だけでもうれしいのですが、頂いた文章の中には、

  • どんな工夫をして使ったか
  • 使った結果、どんなことが起こったか
  • 大学生を相手に使う場合はどのような工夫が必要か

などが丁寧に書かれており、とても感動しました。
今回はその内容を少しだけここでご紹介させていただきます!

○大学二年生の授業で使った時の印象

  • 「文献を調べて発表」というスタイルを初めて体験する学生さんは、いきなり質疑応答をするといっても難しい。そういうときに事前にコメントシートにメモをさせておくと、スムーズに入れる。
  • コメントシートの項目が、すぐに書ける項目と、少し考えなくては書けない項目とのバランスがよかったとのこと
  • コメントシートの書き込み具合を見ることで、ファシリテーションするときに状況を把握しやすい

○大学一年生の授業で使った時の印象

  • 一年生はコメントシートを書いていても、手を挙げて発表することのハードルが高く、固まってしまう
  • 解決策として、「コメントシートをその場で集めて、発表者が読み上げてから応答する形式」に変更した
  • 「ラジオのパーソナリティみたいだ」と、学生たちに受け入れられた

いかがでしょうか。
「実際に使うとどうなるのか」という状況が伝わって非常に面白いですよね!

元々僕はこのコメントシートを「大学院のゼミ」を想定して作ったのですが、1・2年生を対象に使うとまた色々なことが起こるようです!

頂いたコメントをもとに考察してみると、もしかしたら以下のようなことが示唆されるのかもしれません。もちろん、いろいろ状況によって異なると思うので、「全てそうだ!」ということではないですが(笑)

  • 大学2年生くらいになると、コメントシートを書けば、質疑応答に参加するのは比較的スムーズ
  • 大学1年生の場合は、そもそも質疑応答というスタイルに慣れていないので、活動のデザインにも工夫が必要
  • 「コメントシートを書く」という行為は、教授者としても、ファシリテーションの助けになる
  • コメントシートの項目のバランスは重要。書きやすいもの・書きにくいもののバランスをちゃんと検討する必要がある

個人的には、大学一年生向けの授業で、咄嗟に「ラジオのパーソナリティ風の活動」を取り入れたというエピソードが非常に面白いと思いました!

私が提供しているのは「コメントシート」だけであって、それを使用する状況は本当に様々ですよね。

大学院のゼミ向けに作っているからといって、他の大学院のゼミにそのまま持っていていけばうまくいくとは限りません。

大学生を相手にする場合でも、1年生から4年生まで学年によってリアクションは様々です。もちろん、どこの大学であるかによっても違うでしょうし、同じ大学で同じ学年であっても、クラスが違えばリアクションは異なるかもしれません。

このように「使用する状況」が千差万別な中で、実践をしてくださる方が即興的にその場の状況に合わせたカスタマイズを行う様子が伝わってきて、それが非常に面白いなと思いました。

今回のように「コメントシートをつくり」、「そのノウハウを共有する循環をつくる」というのは、こないだ中原先生がblogに書いていたこの記事と通じるところがあるのかなと思います。

コミュニティを開発して、エコシステムをつくる!? : 変化する学習研究のあり方
http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/08/post_1730.html

今後もこのblogでは、普段色々と実践している情報やノウハウを積極的に公開していこうと思います!もし「試しにやってみた!」とか「うちではこうしているよ!」といったことがありましたら、また連絡いただけるとうれしいです!またその内容をこちらのblogでも紹介できればと思います!

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Mon, Aug 16

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