「東大式 世界を変えるイノベーションのつくりかた」を読みました!なかなかすごいネーミングの本ですね(笑)
本書は、東京大学の全学組織である「知の構造化」センターが実施する、「i.school」という教育プログラムの実践をまとめたものとなっています。この教育プログラムは、全ての部局に所属する学生が参加することができるようで、主に大学院生が中心ですが、学部生も一部参加しているそうです。
以下の部分が面白いなと思いました。この方がたしかに意欲ある人が集まりそうですね。
単位は与えませんし、修了証や学位も出しません。ワークショップに参加することによって自分自身の価値を高めることが学生にとってのインセンティブです。
実際にどんなかんじで進むかについても、本書を引用してみましょう。
i.schoolの教育プログラムは、20-30名の参加者を対象としたワークショップから構成されます。年間に6回程度のワークショップを開催しますが、夏休みなどに行う集中的なワークショップと、学期期間中に毎週1回の頻度で5-10週程度に行う集中的なワークショップと、学期期間中に毎週1回の頻度で5-10週程度の期間に開催するワークショップがあります。
僕はi.schoolの存在は知っていたのですが参加したことはなかったので内容は興味津々でした。中身をみてみると、イノベーションを生み出す技法について実践をもとにかなりわかりやすく説明されているなという印象をうけました。
この本では、その技法を「あつめる」「ひきだす」「つくってみる」という3つの大きなプロセスで説明しています。
ざっくりですがそれぞれ箇条書きとして紹介します。目次的なかんじですが、エッセンスは全てここにつまっている気がします。
<あつめる>
・観察(フィールドワーク風)
・インタビュー(半構造化インタビュー)
・ケーススタディのための資料
・未来を洞察する材料を準備
・未来の「兆し」を集める
・思いつくものを持ち寄る<ひきだす>
いくぶん抽象的で、地味な活動。過去の例をひも解いてみても、「あつめる」から一足飛びに「つくってみる」に到達するイノベーション、つまり、特定の事実(の発見)に直接対応したアイデアが、画期的なイノベーションに結びつくパータンはそう多くない。
すなわち、「あつめる」で得られた情報を十分に吟味し、思考を深め、これまで考えもつかなった視点を見いだし、たくさんのアイデアの種を「つくってみる」に引き渡すまでが、このステップの守備範囲になる。
インテグレーティブ・シンキングの観点
1.要素を抽出する
2.要素どうしの関係性を分析する
3.検討する
4.決定する・経験の共有
・コレスポンデンス分析
・ブレインストーミング
・シンセシス(統合)
・インパクト・ダイナミクス(強制発想)
・ケーススタディ(事例研究)をする<つくってみる>
IDEOの標語のひとつに「手で考える」というのがある。つまり、つくりながら考えるということだ。
・絵にする
・身近な材料で作る
・シナリオをつくる
・寸劇(スキット)を演じる
・事業計画書を書く
本書の中では、それぞれの方法を「具体的に」、「実施できるようなカタチで」、紹介しています。実際の授業の様子と共に紹介されるので「抽象的な技法だけ教えられた」というかんじがせず、「試してみよう」という気になるかんじがしました。
自分も参加したくなってしまいましたね(笑)
ワークショップ的な場に興味がある方や、クリエイティブなものを生み出す技法に興味がある方にはおすすめの一冊です。
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