本書は桜井章一さんによる「生き方・考え方」に関する本です。桜井さんは麻雀の世界で、20年間無敗という驚異的な伝説を持っている方です。

一見ものすごくストイックに見えるのに「努力しない」なんて、なんで!?

そんな気持ちで思わず購入していまいました(笑)タイトルもすごくキャッチーですね。

目次を見てみればわかる通り、さまざまな観点から「○○しない」ということについて語っています。おそらく目次を見るだけでも、「ああ、私のことかも・・・」と思うものもあるんじゃないかなと思います。

第1章 「努力しない」から、いい結果になる(努力しない–力が入ったら疑え
持たない–持つほどに不自由になる ほか)

第2章 「何もない」から、満たされる(満たさない–「何もない状態」は豊かである
才能を磨かない–「生きる」という才能があれば十分だ ほか)

第3章 「求めない」から、上手くいく(求めない–求めると願いはかなわない
目標を前に置かない–目標は横に置くといい ほか)

第4章 「つくらない」から、いいものが生まれる(つくらない–つくると嘘が入る
「裏のない人間」にならない–表だけで生きるとおかしくなる ほか)

第5章 「計算しない」から、負けない(計算しない–計算しないほうが勝つ
テクニックに頼らない–テクニックだけだと行き詰まる ほか)

「努力しない生き方」というのは「なにもしないで寝て過ごす生き方」ではありません。

桜井さんの言葉を使うのであれば「努力」ではなく「工夫」が大事であるということなのですが、よりよく生きるための工夫の仕方の本といってもよいかもしれません。

この本からは「努力する=ストイック」というわけではなく、「努力しないストイックさ」を感じます。例えば、以下に本文を少し引用させていただきます。第三章の「求めない」の部分です。

 自分から強く求めないのは、ふだんからやるべきことをしっかりやっていれば、おのずと何らかの形となり、それなりの結果が導かれるという思いが根底にあるからである。
 自分の中に何かあるとすれば、せいぜい、こうなったらいいかなぐらいのうっすらとした思いである。一瞬思ったら、その後は忘れてしまうような薄い思いである。しかし、そんな感覚でいたほうが強く求めるより、いい結果をもたらすのだ。
 それと同時に私が何事も強くもとめないのは、そんな強い願望にはその先にどんな崇高な目標や夢があってもどこか卑しさを感じるからだ。夢という言葉はきれいな響きがあるが、夢だって求め方によっては卑しくなるのである。

どうでしょうか。「努力しないでゆるふわで生きようぜー」みたいなかんじではなく、「努力しないストイックさ」が伝わってはきませんか(笑)

人は思わずなにかをやるときに、結果ばかりを気にしてしまったり、そのせいで苦しんだり、さらには結局結果がでないということになりがちです。

「こんなにつらい思いをしているのになんで・・・」

という気持ちになることも多いのではないでしょうか。

そんなときに本書を読んでみることで、少し肩の力を抜くことができ、「努力する生き方」から「工夫する生き方」へと変化していくのかもしれないなと思いました。

▼関連する本

島田紳助さんの「自己プロデュース力」にも共通する点があるなと思いました。島田さんはこの本の冒頭で「努力の仕方を教えます」ということを述べています。それは、島田さんが若手の芸人たちの稽古している様子をみて、違和感を感じることがあるからだそうです。つまり、「努力の仕方」が間違っていると思うらしいんですね。きっとそれは、桜井さんが言いたいことともつながるのではないかと思います。

[書評]自分だけの教科書をつくること! 自己プロデュース力(島田紳助)
https://www.tate-lab.net/mt/2010/05/post-178.html

仕事の仕方の本でいえば、こちらも発想は似ているのかなと思います。この本は小飼弾さんのblogでも紹介され、かなり評判になった本ですよね。僕も買いました。最近文庫になったので、購入しやすくなりましたね。