いわゆる「論文の書き方本」です。以前も読んでいたのですが、もう一度読み直してみました!

一般的な「文章術」というよりかは「論文術」に近いのですが、大学生以外が読んでも勉強になる部分が多いかなと思います。

僕が個人的に面白いなと思ったのは「問題意識」をどのようにあぶりだすか!?に関する部分の記述です。少し長いですが引用させていただきます。

まず「問題意識」というのは、習慣的な能力・ハビトゥスなのである。すぐにこうした概念を使うところが、哲学者の困ったところだが、自分のことは棚にヨイショと上げて、説明を続けると、「問題意識」というのは、「やる気」と書き直してもよいが、これは何気なく湧き起こってくるものではない。まず材料を仕入れて、その材料が自分の方で形を、姿を現してくるまで待たないといけない。

つまり、1.材料を仕入れて、2.待つ、という作業が必要だ。

材料を仕入れるといっても、まったく興味も湧かないようなことの材料を仕入れても仕方がない。関心の湧くことがあったら、関係のありそうな文庫本、新書を片っ端から乱読するというのが、金もかからず、電車での移動の間でもできるからお勧めである。

文章を書くときに困るのは、そもそも書く以前の問題として「何を書くのか?」とか「そもそも自分の問題意識はなんなのか?」を認識することだったりすると思います。

筆者はそのためには1.材料を仕入れること、2.待つこと、の二つが大事であるといっています。
シンプルかもしれませんが大事なことですよね。

ちなみに、この話には続きがあって「それでもやる気がでなかったら、他人と話すこと」を奨励しています。そして、その章の最後には

教訓:論文のタネが見つからないときは、ケンカでもしてみろ。

とのことです(笑)まあ要は他者と話していく中で自分のこだわりポイントが明確になるということでしょうか。

本の全体像はこちらです。

第1章 論文は楽しい
第2章 論文の基礎知識
第3章 論文を書く段取り
第4章 論文を書いている間の作業
第5章 論文の仕上げ
第6章 論文執筆あれこれ

問題意識やアイデアのタネをつくるのは難しいことですが、身につけておきたい重要なスキルですよね。
これから論文を書く大学生、または社会人の方にもおすすめの一冊です。