最近「越境による学び」について考えること多いです。というのも、今度ワークショップ部で、2009/1/23にThirdPlaceCollectionというイベントをやるので、それに関連して、「サードプレイス」と「学び」の接合点を探っています。

一応僕らとしては、「学びのサードプレイス」をざっくり以下のように考えています。

サードプレイスとは、アメリカの社会学者オルデンバーグが提唱した概念です。オルデンバーグは、家庭でも職場(企業・学校)でもない第3の場が、人々の「憩いの場」になると指摘しました。

私たちは、サードプレイスを「憩いの場」ではなく「学びの場」として捉えます。家庭や職場から離れて、多様な他者とゆるやかにつながり、対話・交流する中で、改めて自分の仕事の意味を問い直したり、新しいアイデアや気づきを得る場。それを「学びのサードプレイス」と呼んでいます。

workshop_bu twitterより http://twitter.com/workshop_bu

とまあ、こういってみたものの、まだまだ深めないといけない点、わからないことは山積みです。「学びのサードプレイス」はまだまだ出てきたばかりの概念なんですよね。

でも、だからとって勉強するものがないわけではなく、ヒントになるものはたくさんあります。その一つが「越境による学び」かなと思っています。

企画のコンセプトを深めるための勉強会で以下の論文を読みました。

「複数の文脈を横断する学習」への活動理論的アプローチ -学習転移論から文脈横断論への変異と差異- 香川秀太

この論文では、「学習転移論」で語られてきたことを踏まえて、「文脈横断論」の特徴やそのメリットについて書かれている論文です。ちょっと難しいですね。すいません。この論文は歴史がしっかり押さえられており非常に勉強になります。

この論文で特にびびっときたのは、以下の点です。ここだけ読んでも雰囲気はわかるはず。(論文から引用)

・文脈横断に伴う葛藤や困難は、内省を引き起こす
・「空気のように透明」で自明になっていた特定の活動の文化的特性が、別の活動を交わることで、相対化、自覚化され、自己対話が生起する状態
・Dreier(1999)は、文脈横断に伴い、「特定の文脈での十全な参加者であることと結びついた一種の”文化的無自覚(core blindness)”(Lave & Wenger 1991)は、他の文脈に参加し、文脈上の 諸実践を対比し、様々な位置から経験を比較する、内省によってたたれると指摘する。

このあたりはサードプレイスで起こる学びにすごく近いのかなと思います。いつもいる場所(家庭や職場)から離れることで、葛藤が起こり、いままで「当たり前」だと思っていた文化を問い直すというイメージでしょうか。このあたりは、サードプレイスの一つのポジティブな意味だと思います。

もう一つ、この論文が興味深いのは、文脈横断することのポジティブな意味だけではなく、ネガティブな意味(状況)も考慮にいれていることかなと思います。

例えば、以下のような状況です。

・文脈横断の過程で、人工物や制度に新しい意味が現れるのとは逆に、元の意味が新しい文脈で喪失する場合もある
・意味喪失(meaninglessness)

要するに、越境すりゃなんでもオッケー!というわけではないのですよね。これもとてもリアリティを感じます。このようにポジティブ、ネガティブの両面を見つめながら、それでも「学びのサードプレイス」に持っている可能性・意味はどこにあるのかということを最近とてもよく考えています。

論文の中には、「文脈横断」の「移動」についてもしっかり考察されているのですが、「学びのサードプレイス」的な移動は、もしかしたら新しいタイプなのではないかとも思っています。移動っていうのは、要するに、「学校というコミュニティと、バイトというコミュニティを行き来すること」とか、「高校というコミュニティから、大学というコミュニティへ移動すること」はちょっと違いますよね。そのあたりのタイプを論文では整理しています。

このあたりを、企画のコンセプトを練りつつ、パーティーを体験することで深められればと思う今日この頃です。

まだやっぱり説明が自分の言葉になっていないですねえ。。。がんばります。

関連書籍

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書評「ノットワーキング」:つながりから学ぶ学習論
https://www.tate-lab.net/mt/2009/04/post-91.html

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2 うーん、これは厳しい。
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