「ワークショップ」という新しい学び方がいま注目されています。まあまだ一般的な言葉になっているかはわかりませんが、注目の方法だと思うのですね。
ただ、知っている人は知っている人で「なんとなくわかるけど」っていう人も多いと思います。僕も、その一人だと思います。ということで、あらためて源流となる本を読み直しました。
中野民夫さんの著書である「ワークショップ」と「ファシリテーション革命」の二冊です。
どちらも新書ですので、こういう分野に興味ある人はいますぐ手元に置いておくといいと思います。コストパフォーマンスがハンパないです。
ワークショップ 中野民夫
岩波書店
売り上げランキング: 31505
読み進めて行けない
やや主観的すぎる内容
ワークショップで大事なこと。
「個人」とセットでパーフェクト
一冊目のこちらは、「ワークショップ」の歴史みたいなものを学ぶ、それこそ源流を知るためにおすすめの本です。ワークショップという言葉は、演劇の分野からまちづくりの分野まで幅広いジャンルで使われる言葉なんですね。それについて、どんな分野でどういう文脈で行われるかの全体が整理されています。
また、ワークショップの定義もよくこの本からひかれると思います。
ワークショップとは、講義など一方的な知識伝達のスタイルではなく、参加者が自ら参加・体験して共同で何かを学び合ったり創り出したりする学びと創造のスタイル(中野 2001)
このあたりの基本的な論点を押さえるためにまずオススメです。それに、けっこう現在語られているようなワークショップの問題点やポイントについてもすでに言及されているんですよね。
例えば、ワークショップは「言語や理性偏重」から抜け出す方法とも述べています。
p.126では、ワークショップをトータルなアプローチといっているのですが、その意味は、「肉体」・「知性」・「霊性・直感」・「感情」という4つの要素をバランス良く配慮することが大事といっています。
また、p.167では「非日常」の限界ということについても語っています。ワークショップという非日常空間の持つ限界についても、この時点で議論されているのですね。
こうした論点を確認する上でも、オススメの一冊となります。
ファシリテーション革命 中野民夫
岩波書店
売り上げランキング: 78933
ファシリテーションを通じてこれからの人の在りようを考えさせられる!!
ビジネスの現場とは相当に隔たりがある
ファシリテーションやワークショップについての概括
ファシリテーションをやってみたい方の第1の書
いつかは役に立つかもしれない
二冊目は「ファシリテーション革命」です。この本は、ワークショップにおける「ファシリテーション」に特に注目した本です。
ただ、語られていることは「ファシリテーションだけ」ではありません。
元々ぼくはこの本は、「ファシリテーションだけの話」かと思って読んでいなかったのですが、ワークショップそのものの理解を深める点でよい本でした。
この本のポイントは、サブタイトルにあるのですが「参加型の場作りの技法」としてあり、ワークショップの場を具体的にはどう作るのか?ということにポイントがあるように思います。
活動はどうつくるの?、空間はどうつくるの?、ファシリテーションはなにを心がけてやればいいの?
そんな疑問に答えようとしたのかなと思います。前回の本でワークショップの歴史を知り、今回の本で具体的な方法を知るという形でしょうか。
ただし、この本も単なる「How to」というわけではないかなと思います。
ワークショップの定義や、ワークショップとはどんなものなのかというのが、前回の本を踏まえた上で、けっこうきれいにまとまっているので、前回の本とあわせて読むと理解がだいぶ深まります。
また、ワークショップにおける重要な論点をこちらもおさえていると思います。
例えば、p99には「現場への橋渡し」という話がのっています。
ここでのポイントは、要するに、ワークショップという「非日常」の空間で起こる体験を、日常にどのようにつなげていくのか?ということですね。
まあ本自体にその話がたくさん書かれているわけではありませんが、「日常と非日常をつなぐ」ために、ワークショップの終了時はすぐに終わらすのではなくて、それを参加者が自覚する時間が必要であることを述べています。
このあたりの論点はすごく重要なので、こういう話を引用しつつ、話を発展させていけると楽しいなあと思います。
まとめ
ワークショップっていろいろ言われますけど、やはりその源流は中野民夫さんの2冊にあると思います。これからワークショップのいろんな本などが出てくるかもしれませんが、それを読み解くためにも、この2冊はまず読んで、手元に置いておくべきかなと思います。
すでに持っている人も、もう一度読むとたくさん発見があるかもしれません。
オススメです。
コメントを残す