さっそく読んでみました。感想をヒトコトでいうと、非常に面白かったですね。最近読んだ本の中では一番に入るくらい面白かったと思います。
内容
この本は、企業の人材育成者などを対象とした本となっています。その人たちに向けて「対話(ダイアローグ)」の価値を、背景となる思想と絡めて、丁寧にその特徴を述べていると思います。
この本がすごいなと思うのは、難解な理論(社会構成主義やら、ダイアローグの源流となる思想)を平易に説明している点ですね。ダイアローグっていいんだよねー、というふうに手法としてだけ説明するのではなく、その背景となっている部分を、なるべくわかりやすく説明しようとしている点がよいなと思います。ダイアローグの負の部分について書いてあるのもよいですね。
面白いポイント
やはりその「対話が大事!」という、その「対話」についてしっかり説明している点でしょうかね。「対話が大事!」っていうのは、すごくわかりやすすぎるんですよね。「やっぱり飲み会いかなきゃ!」とか、「おしゃべりしたっていいじゃない!」みたいなかんじになりがちです。しかし、ここでの対話というのは、けして「ゆるく、軽いもの」じゃないんですよね。
ある種の創造性を伴う会話といいますか、フランクだけど、批判的に会話することの大切さについて述べているのが面白いと思います。それを誤解されないように、丁寧に、丁寧に、述べてあります。
この本について語る
個人的にこの本が面白かったのは、自分が研究以外にやっている、実践活動に関する示唆が深かったという点でしょうかね。研究者としてではなくて、この本は実践者として読んだし、実践者として後ろを押されたかんじがした本でした。
「やっぱり、そういうこと大事だよね!」というかんじでしょうか。
まあでもそもそも「研究者と実践者」みたいな括りはあんまり好きじゃないんですよね。「研究もできる実践者」か「実践も出来る研究者」かどっちがいい?みたいな問いはちょっとナンセンスかなと思います。
この本を読んですごく思ったのは、「実践と研究」みたいにともすれば、二元論的になってしまうものをうまく交流させようとしているのが面白かったかなあと思います。そこに道をつくるというか。あなたは実践者なの?研究者なの?というのではなく、その間の存在というのが僕としては魅力的かもしれません。まあ、元々僕自身はいろんなコミュニティをほいほい移動するのが好きですからね。
話がずれました。
実践をするにあたって後押しされたかんじがしたのは以下の点ですね。
- ・主語を「私」にして、自らの経験を語ることが大事
- ・物語的に語ることと、論理的に語ることのどちらもが大事
- ・私を取り巻くネットワークやコミュニティとして考えることが大事
という点でしょうか。
某勉強会でやっているスタイルはまさに「ダイアローグ的」なのかもと思いました。
ちょっと今回は「そうだよねー!」と思って読んでしまったので、あとで「ここには書かれていない点」に着目して読みたいと思っています。
おすすめです。
ダイヤモンド社
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学習のうんちくがまとまっている
○○を学ぶ、とあるように。
部下を持つ上司にも読んでほしい本
入門書としては必要十分では
人材育成をもう一段深く考えるために
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