「ファシリテーションをするときにどんなことを気をつける必要がありますか?」と聞かれることがよくあるので、今回ポイントをまとめてみました。アカデミックなまとめというよりも、私の経験則になりますが。
5つのポイントは以下になります。
- 安心させる
- 引き出す
- 深める
- 広げる
- つなげる
1つずつ、説明していきたいと思います。
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1.安心させる
ファシリテーションの大前提は「安心・安全の場」にすることだと思います。「安心して意見を言える」という状態でなければはじまりません。
そういう場にするためには、自分の価値観はちょっと脇においておくことが大切です。「そういう見方もあるよね」と素直に思えるような状況を作ることが大切です。フラットに場に接しましょう。
2.引き出す
これは相手に現在の状態や意見を説明してもらうときにつかいます。「いまグループの状態どう?」「順調?」「どんな意見出てきた?」というイメージです。一番ライトな関わり方といえると思います。
グループワークが少し停滞していそうなグループを見かけたら、こんなかんじで軽く声をかけてみるといいと思います。自分たちの状況を説明すると、勝手に解決策に気づいたりするものなので、そのきっかけをつくってあげましょう。
3.深める
これが一番重要かもしれません。グループワークでの議論は一見盛り上がっていても「表面的」になっている可能性はよくあります。例えば、本当は「なぜそうなったのか?」という要因にまで踏み込んでほしいので、「出来事の共有」だけで盛り上がっているということはよくあります。
そういうときに、「どうしてそういう状況をつくることができたんでしょうね?」というかんじで、一歩抽象化(要因の探究)になるような問いかけを行うことはファシリテーターにとって重要な役割です。
4.広げる
グループでの議論が収束しているときに、広げる関わり方は有効です。例えば「他に可能性はない?」「こういう可能性は考えた?」という質問をすることで、「あっ、それは考えてなかった」ということになります。思考を広げる関わり方をするのもファシリテーターの役割だと思います。
5.つなげる
最後は「つなげる」です。つなげるのは、「他班で出た意見とつなげる」場合もありますし、「その会の目的と、議論の内容をつなげる」ということもあります。例えば、「その意見は、さっき他の班が言っていたこういう意見と一緒?」とか、「今回のワークショップの目的は○○だから、そういう意見をどんどん出せるといいよね」といった関わり方があると思います。
なにかをつなげて考えるというのは、認知的に負荷のかかる作業なので、つなげるきっかけをファシリテーターが作ってあげるのは時に重要なことだと思います。
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以上、5つのポイントについて書きました。本当はもう少しそれぞれについて説明したかったのですが、長くなるのであきらめました笑
ファシリテーションは即興的にやるものではありますが、この5つの視点をもっておくだけで少し安心して実施できるのではないかと思います。
また、チェックポイントにもなると思うんですね。「今日は引き出すはできたけど、もう少し深めるとかつなげるを意識したいな」とかですね。
ファシリテーションをするときに、なにかのヒントになればと思います。
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