先日の日本教育工学会にて以下のセッションを行ってきました。
教育の変革を導く研究とは?学習科学ハンドブック・セカンドエディションから考える
コーディネーター: 益川 弘如(静岡大学), 舟生 日出男(創価大学),舘野 泰一(立教大学), 鈴木 栄幸(茨城大学)
このセッションでは、昨年末に出版された he Cambridge Handbook of the Learning Sciencesのセカンドエディションをもとに議論をおこなうものでした。全体で約40名くらいの参加者がいました。
具体的には、いま翻訳を進めている著者の方々4人に話題提供をしていただき、それらをもとに今後の研究について議論するというかんじでした。今回取り扱ったのは以下の4章です。
- 8章 デザイン研究:変化を設計するための方法論的ツールキット(大浦弘樹先生)
- 12章 教育における評価のデザインと利用:学習科学の視点から(益川弘如先生)
- 20章 知識構築と知識創造:理論、方法論、そしてテクノロジ(大島律子先生)
- 24章 コンピュータに支援された協調学習(加藤浩先生)
参加者の方々には、最初にこの4つのどれかの話を聞いていただき、後半はそれぞれを聞いた人たちが集まって議論を行うという形式でした。ジグソーメソッドを活用した形式ですね。
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私は全体の様子を見ながら、それぞれのセッションについてちょこちょこと聞きながら気になったポイントをメモしていました。
気になったポイントをざっと箇条書きであげるとこんなかんじです。ほとんどメモのようなものです。
- 8章について:授業の事例をどのように共有するのか?
- うまくいった実践の「方法」と「結果」だけでは真似することができない
- 真似するためには、「どのように」と「なぜ」が必要で、その状況をより具体的に記述することが必要
- 言ってみれば、その方法がうまくいく「限定条件をより明確に明記せよ」ということか
- 大学教育の実践もどのように共有するのがいいのかは最近個人的にもよく考えている
- 12章について:学びの軌跡を仮定して評価するためには?
- 学習者がどのように理解していくのかの、理解のプロセスモデルを仮に設定してみるのは面白そう
- 最終的な到達目標だけではなく、プロセスを仮定することで、学習者に対して示唆を与えるというのは大学でも真似できそう
- 20章について:知識をつくることによる学びとは?
- 知識構築とはある意味でいえば「つくることによる学び」であり、アイデアの社会的評価とはまた別と考えてよさそう?
- 必ずしも新しい発見事実をつくらなくても、解釈や説明も行えることもその範囲となるのかな
- 知識構築の活動は、大学におけるPBLとは相性がよいのでもう少し自分なりに深く関係性を考えたい
- 24章について:コンピュータと一対一の関係ではなく、コンピュータが協調関係をサポートする
- 報告の中で直接的に話されたわけではないが、思った以上にロボットの議論になったのが面白かった
ロボットとの一対一との対話もあるが、ロボットによるファシリテーションという形式もある - ただし「人工知能」としてロボットが学びのサポートを自律して行えるまではまだ時間がかかる?
- 報告の中で直接的に話されたわけではないが、思った以上にロボットの議論になったのが面白かった
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学習科学ハンドブックが最初にでたときにはぼくは修士1年生くらいだったと思います。時間が経っても、かわらず興味がある点、そうではない点というのが少しはっきりするきっかけにもなったのかなと思います。
こちらの翻訳版は来年度出版予定とのことですので、興味がある方は楽しみにしていてください。こちらのブログでもアナウンスしたいと思います。
その他、今年の学会での活動は以下の記事にまとめています。
The Cambridge Handbook of the Learning Sciences (Cambridge Handbooks in Psychology)
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