今回のQuick japanはバカリズム特集だったので思わず買ってしまいました。密着ドキュメント、インタビューなどなどコンテンツが詰まりまくった一冊でした。
特に面白かったのは構成作家のオークラさんの書いた「大バカリズム論-笑いの構造開発者・升野英和の20年史」でした。バカリズムさんの笑いのスタイルや現在までの歴史が考察されているのですが、視点がとても面白かったです。
以下、簡単ではありますが、文章を引用しながら内容を少し紹介したいと思います。
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タイトルにある「笑いの構造開発者」とあるように、バカリズムさんの笑いは「新しい笑いの構造(システム)」をつくることだといいます。ここでシステムとは以下のように書いています。
この場合のシステムというのは、単純なキャラクターコントではなく、AをすることでBという現象が引き起こされる、誰も見たことのない新しい構造を作ること。簡単に言えば、バカリズムの「トツギーノ」です。
「バカリズムってこういうキャラ」としてアピールするのではなく、勝負のポイントは「新しいシステム」だということですね。ただし、こういうスタイルには弱点があります。「バカリズムといえば○○」というわかりやすいイメージが浸透しにくかったそうなんですね。
バカリズムの美学はネタごとにルールを変えることにあるから、他の芸人に比べると「バカリズムの笑い」としては浸透しなかったし、「オンエアバトル」で目立った印象はなかったと思います。
こうした状況を乗り越えたのは、コンビを解消し、ピンになることがきっかけだったようです。
ピンでやることで、バカリズムがもともとやりたかった、「ルールそのものを伝える笑い」がより明確になり、ダイレクトに世の中に伝わるようになったと思います。ようやく世の中が「あ、バカリズムってこういうことなんだ」と理解することができたんです。
これによって「トツギーノ」が生まれたものの、これに満足することなく、新たなシステム作りをしていった、というのがざっくとした流れになります。
ものすごくざっくり紹介しているので、詳細気になる方はぜひ書籍をご覧ください。もっと別の視点についても書いてあります。
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普段何となく見ているお笑いを、こういう構造として解説されると非常に面白いですよね。なるほどと思って読みました。
「自分がどういうスタイルで勝負するのか?」というのはお笑いの世界に限らないですよね。
「自分の得意なスタイルはどういうもので、そのよさ・難しさはどこにあるのか?」読んでいてそんなことを感じました。お笑い好きな人以外にもおすすめできそうな一冊です。