あなたの組織で、その組織でしか使っていないであろう言葉はありませんか?
必ず何個かあるのではと思います。立教経営の中でもめちゃくちゃあります。たぶん以下の文章とか解読不能ではないでしょうか?
「0のSAやる?マジか。こっけいでEAPやりながらとか無理かなー。2もとりたいけど、ワンチャンCAかな。ゼミで関マケもあるし、キャパ足りねー。」「それな。」
いちいち解説はしませんが、これは簡単にいうと、国際経営学科1年生が、2年生になって授業、ゼミ、授業の学生スタッフ(Student AssisitantやCourse Assistant)のどれをやろうか迷っているような状況のことです。
こういうコミュニティ独自の言語を理解していくというのは、その組織に仲間入りする上で重要です。
会社に入るときなども新入社員のうちは、訳がわからない言葉がたくさんあるでしょう。これらの言葉は辞書などがあるわけではありません。しかし、気づいたら自然と使い始めていきます。
それは一歩ずつそのコミュニティに仲間入りしているということでもあります。組織に馴染む、組織社会化の段階といえます。最初はがんばってそれらを学ぶ必要があります。
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一方、すでに長くいるコミュニティでは「何がコミュニティ独自の言語なのか」わからなくなっていると思います。
それは学習の成果でもありますが、自組織を相対化するのが難しくなっている状態ともいえます。ある種の過剰適応状態である場合もあります。その場合、組織を越境して、自分を相対化する、越境学習が必要になるかもしれません。
越境学習とは簡単にいえば、独自の言葉が通用しないコミュニティの人と話してみて、あっこれうちしか使ってないんだと気づき、別の言葉でそれを表現してみたり、その言葉が使われる文脈を振り返ってみたりしながら、自組織や自分を相対化するかんじです。
このように「コミュニティ独自の言語」というのは、実は学びにとってすごくキーになる、面白いものなのです。
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とここまでは一般的な話なんですが、ぼくは研究者だからか、こういうことをどうでもよい場面でもついつい意識してしまいます。例えば、オンラインゲーム。
オンラインゲームの世界は、そのコミュニティ独自の言語で溢れてて、それを解読していくのが楽しいんですよね。
例えば、人狼ゲームをオンラインでできる「人狼殺」というのがあります。ぼくは動画しか見たことありませんが、ぼくが気づいただけでもこんなに独自の言い回しがあります。
考察(落とす、薄い、ない、のびる)
CO
黒め、白め、村めでみる
対抗
村利ない、ある
殴り、雑殴り
囲い
吊り位置
ラインでみる例:まだだれも占いでてないですね。占いC0します。2番さん白でした。3番さん考察薄いんで黒めでみてます。
最初は何言ってんのかさっぱりわかりませんでした。でももう意味わかるようになっちゃいました。言葉が理解できるようになると、使いたくなるのがこわいです笑 これはまさに組織に参入する段階ですね。
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一方、同じゲームでもスプラトゥーン2は一年くらいやってるんで、何が独自言語なのか、ちょっとわからなくなってきていました…笑 たぶんこんなかんじ。
イカ、タコ、アサリ
スシ、スシコラ
風呂(ッシャー)
エイム(エイム練習)
沼ジャン、ステジャン、イカニン
部屋立てる
チャー2、チャーにぬかれる、4Kかつぐ
編成重め
塗り(が強い、甘いなど)
3確、4確
裏取り例:この時間帯はアサリか。相手チャー2。うちの編成重めかな。塗り弱いから、積極的に塗っていかないと。(試合開始)。スシやりましたー。裏取り気をつけて。いまアサリ8個あるから2個ちょうだい(「カモン!」)とりあえず雨降らしときます。
たぶんこっちのほうが、気づいてないで使っている言葉が多いと思いますね笑。
慣れれば慣れるほど、何が独自言語なのか思い出すのにとても時間がかかります。それは学習しているということでもある一方で、かえって「意識すること」が難しくなっている段階ともいえます。まあ普通ならそれで問題ありません。
ただ組織の場合は、自分たちのあり方を方向転換しなくてはいけなくなったり、だれかに説明しなくてはならないという場面になると、そのままでは難しく、ある種の意識化と翻訳作業が必要になってくるというわけです。
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今日は「コミュニティ独自の言語」という視点から、学びや組織への参入について書きました。
言葉についてそんなに普段意識しないかもしれませんが、学びにとっては重要な要素になります。言語というのは、組織の境界をつくったり、乗り越えたりする上でやはりひとつ強力な武器なんですね。
なので、ちょっと自分の組織で言葉に着目して生活してみるといいと思います。
こういう言い回しってうち独自だなー。
自分は昔こんな言葉使わなかったのに、すっかり組織にそまってしまったな。
そもそもうち独自の言葉ってなんだかさっぱりわからないな。
など、新鮮な発見があると思いますよ。
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