「効率化」「生産性」というのはたしかに重要なのですが、一見無駄に思える時間が実は成果に寄与しているということはありますよね。最近そんなことを松下慶太先生(実践女子大)と議論していたところ、関連する記事を教えてもらいました。記事の一部を引用します。

星野 意外に聞こえるかもしれませんが、生産性や効率を上げようとする際に削られがちな「無駄な時間」こそが大事だと考えています。それがスタッフのモチベーションに貢献していたり、お互いを理解するコミュニケーションにつながっていたりすることもある。

だからこそ、私の中で今考えているテーマは「必要である『無駄な時間』は何か」をきちんと定義することです。生産性向上や効率化であらゆる時間を削ってしまう中に、必要な無駄が含まれているとすれば、それがきっかけで社員が退職してしまうかもしれない。

それも全て、社員のモチベーションを軸に要素を考えれば明らかです。無駄話やコミュニケーションが相当にモチベーションに効いているのであれば、その最適化を考えたい。特にサービス業においては「必要な時間」を定義し、それをもって生産性向上を体現できる組織であることが大切だと思うのです。

引用:星野リゾート代表が語る「生産性向上のために“無駄な時間”を削ってはいけない」
http://diamond.jp/articles/-/140875

「必要である無駄な時間」というと、どっちなんだという気がしますが笑、要するに「一見無駄に見えるけど、実は必要な時間」を見極めるということなんだろうと思います。「効率化」という言葉によって思考停止になって、大事なことまでやめてしまわないことが重要ということですよね。

この記事を読んだときにふと思いついたのが「学生のグループワーク」でした。学生のグループワークは、けっこう長い時間かけてやることが多く、一見すると非効率に見えることも多いです。なので、外から見ると「もっと効率的にやればいいのに」と正直思うこともあります笑 ただこの記事をよむと、そういう時間もモチベーションに効いている可能性も確実にあるよなということを感じました。

こうやって考えていくと、「効率化」や「生産性」というのは、「目的」によって変わってくるということと、さらにいえば、ある種の「主観性」と関わってくるようにも思います。

「効率」「生産」という言葉は、「客観的に外から計測」のイメージが強いです。しかし、外から計測できる行動とは別に、ひとはその行動についてのなんらかの「意味づけ」を持っています。それが「楽しい」とか「集まる意味」とかですね。そこがけっこう重要になるのかなと。

つまり、外からみて「非効率的」に見える行動を、「それ非効率だからやめて」といっても、行動はかわらない、もしくは行動は変わるけど気持ちは萎えるという可能性が高いのかなと。そうではなく、もし本当にやめるのであれば、「その行動の意味づけ」を変えるとか、本人のモチベーションや意味づけを再定義してもらうというアプローチにいかないとだめなのかのかなあと思います。

「意味づけ」というのはある種の「価値」であり、「組織の文化」ともいえるのかなと思います。結局のところ、そういった組織の文化づくりということを抜いて、制度だけの効率化をはかってもかえってモチベーションを低下させてしまうということにつながりかねないということなのかなと思いました。

「無駄」を見極めるためには、「本人たちがどのように感じているか、意味づけているか」ということを注意深く見ていくことがひとつキーになるのかなとおもっていますがいかがでしょうか。

 

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