リーダーシップ教育といっても、企業と大学では多少文脈が違うのでやり方が異なります。そのあたりを最近少しずつ整理しているので、それをこちらにも載せておきます。
ちなみに先日リーダーシップ開発に関する研究会を中原先生らとおこない、そのときのまとめについては、中原先生がこちらの記事にまとめています。
企業におけるリーダーシップ開発の種類は、だいたい1.公式の研修(講義やロールプレイなど)、2.仕事経験からの学び(コーチングなども含む)、3.自己学習(書籍を読む)などに分かれる。どれがよいというより一番いいのは組み合わせること。
— 舘野 泰一 (@tatthiy) 2017年8月23日
大学におけるリーダーシップ教育は、企業のように仕事があるわけではないのでちょっと変わる。授業の中で「経験を作り出す」形式(PBL)などにして、その中でフィードバックや振り返りなどを取り入れるケースが多い。経験そのものを作ってあげるのが企業の研修と違うところ。
— 舘野 泰一 (@tatthiy) 2017年8月23日
大学でのリーダーシップ教育で「受け身的な消費者」でなく、「自分から動く提案者」的な態度を育成するためには、知識だけを一方的に教える方法だとなかなか難しい。なにかしらの文脈のある「実践」のなかで、自分が動くことを通して学ぶような環境が大切になる。
— 舘野 泰一 (@tatthiy) 2017年8月23日
企業と大学では、リーダーシップを学ぶ場所と発揮する場所が異なるというのがポイントかもしれません。企業であれば当然期待されるのは「その会社」であり、その会社に資するリーダーシップを身につけるということになります。
一方、大学は「授業で身につけたリーダーシップ」を発揮する対象は、「大学をよくする」というよりも、どちらかというと、その後「企業」、もしくは「社会」にでてから活用してもらうということになるでしょう。「企業」と「社会」といっても、一緒ではなく、「なにかを変えていく(変革)」を意識するのか、その中に「適応する」ということを目的にするかでまただいぶ違うのだろうと思います。
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ただ、大学においても「Student Assistant制度」などを上手に活用すると、大学で学んだリーダーシップを、自組織で活用するという流れができてきます。こうすると「リーダーシップを学ぶ場所と活用する場所」が同じになっていきます。実は「リーダーシップを学ぶ場所と活用する場所の一致」というのはけっこうポイントになるのではないかと思います。
企業と大学におけるリーダーシップ教育の基本的な考え方や原理は共通すると思うのですが、学ぶ環境やシチュエーションはけっこう違うところがあり、そのあたりの整理は今後必要になるのではないかと思っています。
このあたりは研究を進め、書籍などにまとめることと同時に、ブログにも少しずつ小出ししていこうと思います。
■参考書籍
こちらの書籍のなかで「大学生のリーダーシップ教育」に関する章を書いておりますのでよろしければご覧下さいませ。
大学生を対象にしたキャリアワークショップなどの事例は以下に掲載しています。
三省堂
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