「人に頼って成果を出す」ということはわかっていてもとても大変なことですよね。大学でリーダーシップに関する授業をしていますが、学生にとっても最初のハードルになってきます。学生だけでなく、大人もそうかもしれませんけども。
ついつい「自分がやった方が早い」と思ってしまったり、「人に頼んだらいやだと思われるのではないか・・・」という気持ちが先走ってしまい、結局ひとりでやることになりがちです。
「人に頼って、みんなで成果を出す方がよい」ということは頭ではわかっているはずです。知識としては知っています。しかし、行動として本当にできるようになるためには、体験をして実感をしないと難しいのではないかと思っています。
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では具体的にどのような体験がポイントになるのでしょうか。
これは研究などではなく、あくまで私が普段授業をしていて感じる実感ですが、
・自分1人が全力でがんばってもうまくいかない挫折
・他者から助けられて心から感謝するという
という両方の体験をしたときではないかと思っています。片方だけではまだ心から信じることはできないのではないかと思います。
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学生から話を聞いていると「自分がやった方が早い」という考えを脱却したきっかけとして、ひとりで全部やろうとして成果がでなかったという話はよくでてきます。
しかしそれだけでは「自分だけがんばって、他の人は助けてくれなかった」という話になってしまい「人に頼る」ということを覚えることは難しいでしょう。
それだけでなく、やはりどこかで「自分をサポートしてくれる人がいるんだ」ということに気がついていくことが大切になります。
それは「サポートを待つ」ということよりも、「自分が気づいていなかったサポートに気づく」ということでもいいのだと思います。また、どこかで「これお願いできる?」というかんじで、小さいことでいいので人にお願いしてみるということも大切になってくると思います。
その2つがそろったときにはじめて「人に頼って成果を出すこと」が腹に落ちるのかなと思います。
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今日は「人に頼って成果を出すこと」について書きました。リーダーシップに関する行動は「言われてみれば当たり前」とか「知識としては知っていること」かもしれませんが、それを本当に自分の中で納得して、行動にうつすということは非常に難しいです。
そのためにはやはりさまざまな「経験」がキーとなってきます。いろいろな場に出ていって、「実感としてわかる」ということがやっぱり重要になってきますよね。
授業を作る側として、そういう経験ができる授業を設計していきたいものです。
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