「何か新しい方法を取り入れる」ということは、一見とてもよいことです。ただし、それが「取り入れること」が目的化しているケースというのは案外と多いのではないでしょうか。

「新しいからやってみたい」というのはまだポジティブですが、「やれと言われたから取り入れないといけない」、「とりあえずやることは可能だからやる」という発想で取り入れられていると、それはなかなかうまくいかなそうだと感じます。

今回この話を書こうと思ったのは「入門 組織開発(中村和彦)」の書籍を読んだからです。

この中に神戸大学の金井壽宏先生のエピソードがでてきます。

それは「ドゥアラブル(doable)」と「デリバラブル(deliverable)」という2つの違いに関する話です。

「ドゥアラブル(doable)」とは「何ができるか(行動内容)」のことを指します。一方「デリバラブル(deliverable)」とは「何をもたらすか(提供価値)」のことをさします。

私たちは「何をしているのか(doable)」を意識してしまいがちですが、実際にはそれが「相手に対してどんな価値を提供しているか、役に立っているか(deliverable)」という視点に立って考えてみることが重要であることが述べられていました。

この考え方は、なにか新しい方法を取り入れようというときにも応用できるのかなと思います。

「これできそう」「これやれる」という発想ではなく、「だれに対して、どのような価値を提供できるのか」ということを考えてみるということですね。

私たちはついつい「いまなにができるか」を考えてしまいますが、そんなときにこそ、

「ところで、そもそもこの方法を取り入れようとするのは、だれにどうなってほしいと感じているからだろう?」

と問いかけられることが大事なのかもしれませんね。

【関連する記事】

「提供価値を考える」というのは、言い換えれば「目的をおさえる」ということかもしれませんね。過去に書いた関連する記事を貼っておきます。

「目的を押さえる」というアタリマエのことを意識しつづけるためには?
https://www.tate-lab.net/mt/2016/01/1501.html

チームにとってなぜ目的が大事なのか?:「チームの力(西條剛央)」を読んだ
https://www.tate-lab.net/mt/2015/08/1458.html

【関連する書籍】

今回紹介したこの書籍はとても面白かったです。組織開発に関することについても今度ブログを書いてみたいと思います。

入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる (光文社新書)
中村 和彦
光文社 (2015-05-19)
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