先日「オトナ相手の教え方」(関根雅泰著)を読みました。著者の関根さんとは大学院のときに同じ研究室で学んでおり、いまでも研究会などでご一緒させていただいています。
この本の特徴はタイトルにもある通り「大人」を相手にしたときにどのように教えるべきかについて、「関根さんの実践経験」+「研究知見」をあわせて、コンパクトにまとめられています。
内容、分量共にバランス感覚のよい書籍という印象を受けました。
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具体的に参考になった一部分を本書から紹介してみましょう。
本書では「人にものを教えるコツ」を「コップに水をそそぐ」という比喩で説明しています。
そこでのポイントを舘野なりに要約すると以下になります。
・コップの中にどのくらい水が入っているかを確認!
(質問などをして学習者の元々の知識状況などを把握する)
・コップに水をいれるときには状況を把握しながら入れる!
(言いたいことをいうだけでは、知識はあふれる)
・水をいれるときには「Why(なぜ)」を添えましょう!
(なぜその活動をやるのかをしっかり説明)
書籍では図にまとまっているので、そちらをみていただくとさらにわかりやすいと思われます笑
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さっきの3つのポイントをさらに要約すると以下になります。
- 学習者の状態把握をしましょう
- 話を構造化しつつ、学習者の状態にあわせて話をしましょう
- 「なぜ」をれをやるのかという理由もセットで話をしましょう
この3つは基本ながら、なかなか押さえられていないと思います。
特に感じるのは、3つ目の「なぜ」というところは説明が抜けがちです。
この部分が抜けると「活動はやっているけど意味をわかっていない」(言われたからやっている)といった状態になりがちです。そうなると意図した学習活動が起こらない可能性が高いので気をつけたいポイントだと思います。
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本書の大人というのは企業の文脈だけではなく、大学教育の場面でも使えることが多いと思います。
私のいる立教大学経営学部では、Student Assistant(SA)たちとともに授業を進めることも多いのですが、この本をざっと目を通してもらうだけでも、だいぶ教えることの基礎力が高まるのではないかというかんじがしました。
教えることをはじめる一冊としても、自分のこれまでのやり方を振り返るための一冊としてもおすすめかなと思います。
【書籍】
クロスメディア・パブリッシング(インプレス) (2015-11-02)
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【参考情報】
教えるのが上手い人と下手な人の違い
http://www.lifehacker.jp/2015/11/151105book_to_read.html