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「チームの力」を読みました。率直な感想として、非常に面白かったです。「チーム」「組織」「リーダーシップ」などのキーワードに興味がある人にはさまざまなヒントがある本だと思います。読みやすいので大学生にもおすすめです(リーダーシップについて興味ある人は必読です笑)

本書は、

そもそも我々は何のためにチームを作るのか?それは一人ではできないことがあるからだ。

というはじまりから、チーム作りにおける「目的・理念・ビジョン」の重要性や、リーダーシップでおさえるべきポイントについて網羅的にまとめられています。

面白いと思ったポイントを全て挙げるとかなりの分量になってしまうので、2点に絞って、本文を引用しながらポイントを紹介します。

1.目的・理念・ビジョンの重要性

まず本書は、チームにおける「目的・理念・ビジョンの重要性」について非常にわかりやすく書かれています。

集団とは単なる人の集まりであるのに対して、組織とは「何らかの目的を達成するための有機体」なのである。

つまり、チームや組織とは目的達成のために作られるものである以上、何をするにも、その目的が決定的に重要になるのだ。したがって、まずリーダーがやるべきことは、チーム作りのすべての判断基準になる「目的」を明確にすることである。どういうチームメンバーが必要で、どのような戦略が有効で、どういうリーダーシップが求められるのか、すべてこの「目的」を抜きに考えることはできない。

「目的の重要性」をとても簡潔に伝えられているように感じます。本文ではこの後に、理念、ビジョンの説明が続きます。リーダーシップにおいて「目標の設定・共有」は重要な行動のひとつですが、これの重要性を簡潔に述べているように感じました。

2.方法とは?

目的の重要性は、「方法の選択」に関わってきます。よい方法とはいかなるものか?それは目的と対応するのです。

つまり、どんな状況、目的においても機能する「絶対に正しい方法」はないのだ。換言すれば、これまで「正しい」と思っていた方法も、状況や目的が変われば、「間違った方法」になりうる。この「方法の有効性は(1)状況と(2)目的に応じて決める」という「方法の原理」は、いつでもどこでも例外なく妥当する。

言われてみれば当たり前かもしれませんが「方法の正しさ」は、「状況」と「目的」に左右されるわけです。ということは、つまり、その正しさを判断するために「チームの目的」をはっきりさせておく必要があるというわけです。

ここで書かれている「チーム」「目的」「方法」の関係は、汎用性も高く、非常に重要な視点であると思います。

私自身がチームを作るときにも、「目的」「方法」の関係はとても意識しています。例えば、大学の授業改善についてチームで取り組んでいるわけですが、その目的(言い換えれば、学習目標)を常に意識ながら、それに対応した「方法(教育方法)」を選んでいきます。

我々は現在「リーダーシップ教育」を行っているので「それがリーダーシップの育成に本当につながるのか?」が方法の取捨選択の基準となります。さらに、目的となる「リーダーシップとは何か」についても、常に理解をそろえ、アップデートしていくことを行っているというわけです。

本書は、なんとなく感覚的に思っていたことが、明確に言葉でずばずば書かれていて爽快な本でした。

立教大学のリーダーシップ教育で大事にしているリーダーシップの3つの要素(目標設定、率先垂範、同僚支援)の視点と重なる部分も多く、かなり参考になりました。

チームやリーダーシップについて本書で書かれているような視点を持つと、チームで仕事をすることがさらに楽しくなり、成果につながるのではないかと思いました。おすすめの一冊です。

チームの力: 構造構成主義による”新”組織論 (ちくま新書)
西條 剛央
筑摩書房
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