新しい領域の知識を学ぶということは楽しいことですが、大変なこともありますよね。

私にとって「経営学全般の知識」が、まさにそれにあたります。私は現在経営学部にいますが、元々は教育系であるため、人材育成とか組織開発系のことは知っているものの、経営学全般の知識というのはあまり持っていません。とはいえ、経営学部では「ビジネス」リーダーシップについて教えていることもあり、ここ数年少しずつ経営学全般に関することも勉強しています。

例えば、ビジネスモデルの立て方、マーケティング関連、会計関連、経済学周りなどについて、基本的な書籍を読んで知識を身につけているというかんじです。自分の専門とは異なる分野ではありますが、知らない領域のことを勉強することは楽しく、割と苦労なく本を読み進めています。

ではなぜ新たな領域について学んでいるのにそれほど苦がないのでしょうか。それは自分のいまいる環境は経営学について学びやすい環境にいると思うのです。その理由は大きく3つあります。

1つ目は、「人に教える」必要があるからです。なんでもそうですが、「自分が勉強するだけ(インプットのみ)」の環境だとなかなか勉強が進みません。いまの環境は、経営学に関連することを「人に教えるため」に学んでいるということもあり、学ぶ動機も明確ですし、そのために「深い理解をしないといけない」という環境があります。これによって学びを深められているように思います。

2つ目は、「専門家(研究者)」が近くにいるからです。例えば、マーケティングに関連する知識が必要になった場合は、マーケティングの研究をしている先生の研究室にお邪魔して、どういうふうに考えればよいかを聞きにいきます。そうすると、色々細かく教えてもらえますし、参考文献も教えてもらえます。困ったときにすぐに聞ける人が身近にいるというのはとても贅沢なことです。

3つ目は、「実務家」が近くにいるからです。経営学部では実務で活躍されている方が兼任講師として授業に参加されているため、「実際のビジネスの場面でどう使うのか?」などについてすぐに聞ける環境があります。「こういうのって普段はどうしているんですか?」とか「企業の中ではどういうふうに捉えられているのですか?」ということをすぐに聞ける環境にいることはとても大きいと思います。

この3つをもう少しまとめると、以下の5つに整理できると思います。

1.学ぶ目的の明確化
2.学んだ成果の見える化
3.学びのパートナーをつくる
4.情報源を押さえる
5.知識の活用のイメージを持つ

結局よりよく学ぶためには、「学ぶ方法」も大事なのですが、「よりよく学べるような環境」を自分自身のまわりにつくるということも同時に大事になると思います。

上記で挙げた5つのポイントを押さえてみると、新たな領域の知識についても、それほど苦労することなく、楽しく学ぶことができるのではないでしょうか。

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