最近話題の「嫌われる勇気」を読みました。アドラー心理学に関する本ですね。本の概要は冒頭にまとめられている通りです。
本書は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)を、「青年と哲人の対話編」という物語形式を用いてまとめた一冊です。
アドラー心理学については以前少し読んだことがあったのですが、本書は対話形式で書かれていることもあり、ポイントがより平易にまとめられている気がします。
アドラー心理学のエッセンスを非常に簡潔にまとめてしまえば、何かの出来事があったときに「何が原因なのか?(過去に起きたこと)」ではなく「何が目的なのか?(現在)」ということを考えるという点です。
具体的にいうと、例えば「ひきこもり状態の人」がいた場合に、普通に考えると「不安だから、外にでられない」と考えるかもしれません。しかし、アドラー心理学の場合には「外に出たくないから、不安という感情をつくりだしている」と考えるのです。
つまり、アドラーは「どんな経験があったのか」によって、その後の行動が決まってしまうのではなく、「その経験にどのような意味づけをするのか」によってその後の行動を決定するのだということを述べているといえます。
これはある意味でいえば救いです。「自分はこんな環境だから、こうなのだ」というのではなく、「自分がどう意味づけするのか」がポイントになるわけです。こうしたポイントが凝縮された言葉が以下になります。
「大切なのはなにが与えられているかではなく、与えられたものをどう使うかである」
アドラー心理学では、こうした考え方をベースに、他者との関係についても述べていきます。タイトルにもある「嫌われる勇気」に関連する部分は特に第三章くらいから厚く記述されています。だいぶブログが長くなってきたのでポイントだと引用すると、以下のような一節があります。
他者の評価を気にかけず、他者から嫌われることを恐れず、承認されないかもしれないというコストを支払わないかぎり、自分の生き方を貫くことはできない。つまり、自由になれないのです。
アドラーの考え方は「自分が困った状況である」ときに、「勇気をもつこと」がキーになります。自分を縛っている過去の原因ではなく、「いまの目的」を見直して、そのために勇気を持って行動することで先に進もうという考え方なのかなと思います。
読んだ後は、たしかになあというかんじで、自分が結局なにかを言い訳にして行動していないことって色々あるなとあらためて思いました。さらにいえば、本書のサブタイトルにある「自己啓発の源流」というキーワードがかなりしっくりきました。
一方で、こうした考えはともすると、なにかの原因が個人の考え方のせいに帰属しすぎる怖さもあるのかなと思いました。どんな考え方でもそうかもしれませんが、発想を外側から押しつけようとすると元々のよいアイデアの意味が変わってしまうのかなとも思います。
非常に読みやすい本でもあるので、以前から気になっているという人は一度読んでみるといいのではないかと思います。
■追記
今月頭にブログを新しくしたこともあり、今月はコンスタントに記事を更新しました。8月の記事はこちらから読めますので、よろしければご覧下さいませ。
8月に更新した記事一覧
https://www.tate-lab.net/mt/2014/08